【新卒でコンサルは厳しい?】コンサルが新卒を早期戦力化する「ある」教育法とは
2022年10月6日更新
はじめに
2022年1月1日時点のキャリタス就活2023学生モニター調査では、23卒の大学3年生全体で15.6%の学生がコンサル業界を志望している結果が明らかになっています。
1位の情報インターネットサービス(20.8%)、2位の情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト(19.0%)、3位の銀行(16.4%)に続いて、4位にランクインしているので、なかなか人気の高い業種だと言えますね。
一方で、新卒ではコンサルが厳しいという説が囁かれており、実際に入社できたとしても教育でサポートしてくれるのかどうか、知りたいところですよね。
漠然とした憧れだけでコンサル会社を受けるのは非常にリスクが高いですし、実態を理解したうえでコンサル就活を行ったほうが、将来的に悔やまなくて済みますし、ムダな時間や労力もセーブできます。
本記事ではコンサルの採用事情を明らかにしたうえで、コンサルの人材育成の実態に迫りたいと思います。
あなたがコンサルに就職すべきなのか10分ぐらいで判別できますので、最後まで一気に流し読みしてくださいね。
1.コンサルに新卒で入社するのは難しい?
結論からいうと、新卒でコンサル会社に就職するのは厳しいです。
今からいう3つの理由で厳しいと言われていますので、その真相を見ていきましょう。
即戦力が求められるから
コンサル会社は、一般的に中途採用で人材を充足します。
イメージしてほしいのですが、各社の社長や経営幹部を相手に企画案のプレゼンや丁々発止説得したりしないといけないわけです。
そんな重責を経験や実績のない新卒がいきなり担えると思いますか?
答えは、「No」ですよね。
特に新卒をゼロから育てる文化や余裕のないコンサル会社では、新卒の採用を敬遠するきらいがあります。
もちろん、新卒の採用枠を持っているコンサル会社もあり、そこでは早期立ち上げのために「OJT」や「OFF-JT」の両輪で人材育成に力を入れている会社もあります。
【OJTとOFF-JTの違い】
OJTとは、「On the Job Training」の略で職場での実践を通じて業務知識を身に付ける育成手法で、OFF-JTは「Off the Job Training」の略で、研修など実務の場を離れて行う教育施策を指します。 |
つまり、新卒を採用しないコンサル会社はそもそも中途の即戦力採用中心なので教育という概念が乏しい一方で、新卒を採用するコンサル会社は早期に即戦力に移行すべく徹底した教育体制を敷いているということですね。
ライバルが優秀だから
コンサル業界を志望する学生は相対的に優秀層が多く、ハイレベルでの競争が激しいので就職の難易度が高い傾向にあります。
コンサル業界は他の業界に比べて年収が高く、高度なビジネススキルや人脈ネットワークを構築できるので市場価値も高く、成長意欲のある学生にとっては、うってつけの業界です。
したがって、そもそも入口の段階で高い壁に阻まれるので入社するのも厳しいと言えます。
選考スケジュールが早いから
コンサル業界の採用選考は他の業界に比べて早いです。
一般の採用スケジュールの1年前倒しになる大学2年生の3月から会社説明会が開催され、秋冬インターンに参加しなければ、そもそも選考の扉をシャットアウトする会社もあるぐらいです。
特にコンサル業界は、外資系の企業が多く、政府が要請している採用スケジュールとは治外法権的な動きを見せます。
そもそも、そんなに早く就活準備を行っている学生は少ないので、意識高い系の学生でないとコンサル会社から内定を勝ち取るのは厳しいということですね。
2.コンサルは新卒をどう育ててるの?
「新卒でも早い段階で即戦力に仲間入りしないといけないのはわかりましたが、そもそもコンサル会社は人材育成を行ってくれるんですか?」
それでは、典型的なコンサル会社の人材育成法を見ていきましょう。
体系化された研修で事務処理能力アップ
網羅的なスキルを短期で身に付けるには、体系化された研修体系が最も効率がいいです。
特に新卒でコンサルタントになる人は、非常に厳しい研修を受けることになります。
Offie系ソフトの活用から、ロジカル・シンキング、企画書の提案方法、資料作成からプレゼンのやり方まで、実戦で必要な武器がお腹一杯になるほど詰め込まれます。
研修ではとても時間内に消化し切れないほどの課題を浴びせられるので、宿題として確実に遂行することが要求されます。
厳しいようですが、早い段階から高いレベルの「ビジネス筋肉」を鍛えようと思えば、甲子園の常連校を見ればわかりますが、膨大な量の練習が必須だということですね。
ケーススタディで実践力アップ
研修で学ぶことは、これから戦をするための武器に他ならず、その武器をどのように有効に使いこなすかとは別のテーマですよね。
実際にコンサルの現場では、「問題発見力」「問題解決力」「関係者の説得力」などの高度なスキルが求められますが、それは受動的な研修では身に付けることはできません。
それらの能力を高めるには、「実戦」しかありません。
「知識の習得→現場での実践→フィードバック→修正→現場での実践」というサイクルを回さない限り、「頭でっかち」「机上の空論」「絵に描いた餅」といったそしりを免れません。
したがって、コンサル会社では定期的に現場の実践力を養うために「ケーススタディ」が行われます。
ケーススタディーは基本的にマネージャー以上のエース級が講師を任せられ、テーマもより現場に近づけるため、実際の案件が取り扱われます。
ケーススタディの事例も「現場での窮地」をベースに組まれているので、かなりエグい実践研修となります。
たとえば、
- お客さん自身が依頼したことをやっていないのに、コンサルに責任転嫁してくるケース
- 昨日決まったことが、次の日に社長の鶴の一声で引っくり返されるケース
- お客さんが法律に抵触していることを発見してしまったケース
- 顧客側の内部対立に巻き込まれてしまったケース
- 間違った施策をやめさせて、プロジェクトを上手く再起動させるケース
など、あらゆるシーンにおいてどのように立ち振る舞えばいいのか、その知恵や実践方法を徹底的に叩き込まれるわけです。
もちろん、受講者には予習が義務付けられ、「手取り足取り」とか、「自分のペースに合わせて」といった概念がないので、「できなかったら、サヨナラ」という厳しい世界です。
しかし、コンサルタントという職業は自分で選択しています。
自分で選択したのなら、「責任と覚悟」を持ったプロ意識が必要だということですね。
3.コンサルに求められる7つの素養
「なるほど。なかなかコンサルは厳しい世界なんですね。では、どのような人がコンサルに向いているのでしょうか?」
そうですよね。気になるところですね。
それでは以降で、コンサルに求められる素養を7つに絞って解説していきますね。
①強靭な体力
すべての職業にあてはまりますが、コンサルタントは特に「体力」が必要です。
コンサルタントはスマートで華やかなイメージが先行しがちですが、クライアントの課題解決のために調査や分析、チームでの仮説検証、ディスカッション、クライアントの説得など業務は広範にわたり、夜遅くまでハードな業務を行うこともあります。
単にパソコンで資料やレポートを作っているだけでなく、クライアントの業務改善のために現場に入り込んで、コンサルティングを行うなど泥臭い一面もあります。
ただ、これが毎日続くというわけではなく、プロジェクトが「進行している場合」と「そうでない場合」で繁閑の差があります。
なかには、1つのプロジェクトが終了した段階で、リフレッシュ休暇を設けているファームもあります。
いずれにしても、クライアントにとっては喫緊の課題のため、多忙時に対応できる十分な「体力」は必要不可欠だということですね。
➁スマートな論理的思考力
コンサルタントと聞くと必ず出てくるキーワードが「論理的思考力」です。
「論理的思考力」とは何かというと、平たく言えば、
「A=B、B=C ならば、A=C」
を言語化して伝えられる能力です。
このように、物事に筋が通っており、根拠・理由があり結論を提示することができて初めて相手を説得できるわけです。
でないと、どこの輩かもわからない新人から上から目線で不合理な説明をされても、クライアント側は二つ返事で「はい、わかりました」とはなりませんよね。
外部から突然やって来て、相手を説得しようと思えば、「論理」という客観的で誰もが納得できる武器しか使える手段がないということです。
したがって、見えない課題を解決するコンサルの仕事は、その筋道を作るために仮説検証を繰り返し、論理的にプロセスを進めながら、クライアントを納得させる論理的思考力を磨き続ける必要があるわけです。
➂結果にこだわるプロ意識
やはり、コンサルの仕事は、「責任と結果」が付きまといます。
クライアントも決して安くはないフィーを支払っていますので、それ相応の結果を求めます。
そんな中で、ご託を並べて話がどちらとも取れるような曖昧な言い方に終始するようなコンサルタントでは企業側に支持されないどころか、やがて相手にされなくなります。
したがって、自分の中に高い理想と基準点を持ち、決して及第点で満足することなく、相手の期待を超えるような成果を出さなければいけません。
このような結果にこだわるプロとしての姿勢が、デフォルトで組み込まれているのが前提だとういことですね。
➃思考持久力
コンサルの仕事は、見えない問題を発見して「なぜ?なぜ?なぜ?」と問題を深堀りしたうえで真因を突き止め、その解決策を導く知的好奇心が必要となります。
コンサルタントが扱う問題の中には一見、「解決困難」とあきらめてしまいそうな問題もあります。
そんな時に「もう、ギブアップ!」と白旗を振るようでは一端のコンサルタントにはなれません。
そこで「大丈夫。必ず解はある」と腰を据えて、考え抜く粘り強さがコンサルタントには欠かせません。
要は、「長い時間、頭に汗をかける」といった表現に近いですが、「思考持久力」がどんな職業にも増して必要なわけですね。
➄学ぶ謙虚さ
コンサルタントは日々の社会情勢の変化や専門領域の最新情報・知識を高いアンテナを立てて、常にアップデートしなければ戦えません。
それだけでなく、顧客が属する業界や業務知識、新しいコンサルティング手法を仕入れておかなければ太刀打ちできない世界です。
そういう意味では、自己研鑽だけでなく、老若男女を厭わず、誰からも学ぼうとする謙虚な姿勢が必要となります。
自分のプライドが邪魔してアドバイスを避けているようでは、1人前のコンサルタントになるのは難しいということですね。
⑥タスク管理能力
コンサルタントは自らの仕事やプロジェクトを進めるために、予定や目標を設定して手際よくこなしていくためのタスク管理能力が必要になります。
コンサル業界は新卒であっても、与えられる仕事量が多く、仕事の難易度も最初から高い傾向にあります。
コンサル業界で働く以上、期限が迫る多くの案件を同時並行で確実に管理できる能力が試されるというわけですね。
➆コミュニケーション能力+人間力
やはり、プロジェクトを成功に導くためには、クライアントにも、社内チームに対しても円滑なコミュニケーションが大切になってきます。
相手の理解を促進するために、何をどの順番で組み立てれば効果的なのかを知ったうえで話せる能力が必要です。
ただ、話せるだけではダメです。
コンサルタントの仕事は顧客にいかに共感してもらい、重要な情報を引き出せるかがキーとなり、仕事の質にも直接影響しますので、卓越した「傾聴力」が問われるわけです。
加えて、コンサルタントはできるだけ早い段階でクライアント側と信頼関係を構築する必要があり、そのためには必要以上に恰好をつけたり、相手を見下す態度をとらない姿勢が必須である一方で、礼儀正しく、顧客を怖がらず、毅然とした態度で接するバランス感覚が不可欠になってきます。
そういう意味では、頭のスマートさと同じぐらい、人間的な魅力も必要だということですね。
4.コンサルの人事評価制度
コンサルの年収は相対的に高いですが、それがどのようなプロセスで決まるのか気になるところですよね。
最後にその気になるコンサルの評価制度をお届けして、本記事を締めくくります。
まず、コンサルの仕事はプロジェクト単位で動きます。
そのため、人事評価制度は各プロジェクトの責任者がプロジェクトごとに評価するのが通例です。
ただし、プロジェクトのテーマや一緒に運営するメンバー構成によってパフォーマンスに違いが出ることもあります。
そのため、「継続性」という観点で、シッカリ成長できているかを意識してモニタリングする仕組みを設けているコンサル会社も多いです。
基本的にはプロジェクトで求められている役割を確実にこなせているかというシンプルなものです。
たとえば、新入社員の例だと、コンサルタントとしての基礎スキルが習得できているかがポイントなので、以下のような評価基準が重要視されます。
✓ 調査・分析の基礎スキルを習得できているか?
✓ 資料作成スキルを習得できているか?
✓ メンバーとして、チームに貢献できているか?
など、「アウトプット評価」だけでなく、「プロセス評価」も反映されるというわけですね。
5.おわりに
以上、コンサル業界の人材育成の仕組みや評価制度、求められる素養について解説してきました。
やはり、コンサル業界は入るのも厳しいですし、入った後も厳しい世界が待ち構えています。
そんな「虎の穴」のような厳しい職場環境で耐え抜いた向上心の高い人だけが、一流のコンサルタントになれます。
そこは、頭でっかちな単なる机上の空論ではなく、その知識を使ってストリートで鍛え上げた実戦力がモノを言う世界です。
そんなシビアな世界ですが、プロジェクトを終えたときの達成感や、やりがいは申し分ないので、自分はコンサルに向いているとか、コンサル的な仕事で飯を食っていきたい人にはおすすめです。
本記事があなたの就活のお役に立てば、幸いです。
また、新卒コンサルのメリット・
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。