企業の売上の調べ方7選!非上場企業も徹底解説!

企業の売上の調べ方7選!非上場企業も徹底解説!

2024/9/6更新

印出実生(キャリアアドバイザー チーフ)

この記事の監修者

印出実生(キャリアアドバイザー チーフ)

現在は株式会社ナイモノのキャリアアドバイザーとして、ショーカツ・スタキャリなどの就活支援サービスを担当。社会人1年目で最年少MVP獲得、新卒採用プロジェクトに抜擢されるなど高い評価を得ている。自身の就活経験を活かし、業界・仕事・企業探しから逆算した年内スケジュールの組み立て方まで、二人三脚で就活生に寄り添ったサポートを心がけている。 

現在は株式会社ナイモノのキャリアアドバイザーとして、ショーカツ・スタキャリなどの就活支援サービスを担当。社会人1年目で最年少MVP獲得、新卒採用プロジェクトに抜擢されるなど高い評価を得ている。自身の就活経験を活かし、業界・仕事・企業探しから逆算した年内スケジュールの組み立て方まで、二人三脚で就活生に寄り添ったサポートを心がけている。 

はじめに

就活を行う際に誰しもが行うであろう企業研究。

企業の特徴や強みを研究することは、選考を突破するうえで非常に重要です。

加えて、「志望企業がどのような分野でどれくらいの売上をあげているのか」「市場シェアはどれくらいなのか」「年度ごとの売上推移はどうなっているのか」を把握しておくことも大切です。

本記事では、企業研究について、以下のような悩みや疑問を抱えている就活生に向けて、企業の売上の調べ方について徹底解説します。

対象の読者
  • 企業の売上などの調べ方がわからない
  • ベンチャーのような非上場企業の決算書類が探せない
  • 売上や業績を表す資料の見方がわからない

また、本記事を読めば以下のようなことがわかります。

本記事を読めばわかること
  • 企業の財務情報の調べ方
  • 非上場企業の財務情報の調べ方
  • 売上などを示す「財務諸表」の重点的に見るべきポイント

比較的調べやすい上場企業だけではなく、非上場企業の情報を調べることができれば、ほかの就活生に差をつけることができるはずです。

ぜひ、最後までご覧ください。

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まずは企業の財務諸表をチェックしよう

まずは企業の財務諸表をチェックしよう

企業の売上を調べたいときは、その企業の財務諸表を見る必要があります。

まず、財務諸表とはどんなものなのかを理解しておきましょう。

財務諸表とは、企業の1年間の財務状況をまとめた資料のことです。

「諸表」というとおり、いくつか種類があるのですが、なかでも特に重要な財務諸表が3つあります。

財務三表

  1. 損益計算書
  2. 貸借対照表
  3. キャッシュフロー計算書

 

上記の3点はその重要性の高さから「財務三表」と呼ばれています。

財務諸表には、企業の売上や業績などを示すさまざまなデータが記載されているので必ず確認するようにしましょう。

①損益計算書をチェックする

損益計算書には、その年度における「収益」「費用」「利益」が記されています。

簡単にいえば、企業がその年度において、どの程度儲けたのかがわかる資料です。

損益計算書は「Profit & Loss Statement」の頭文字を取って「P/L」と表記されますので頭に入れておきましょう。

損益計算書には以下のような情報が記載されています。

【損益計算書の記載項目】

科目内容
売上高1年間の売上の合計額
売上原価商品を仕入れる費用など
売上総利益売上高-売上原価で求められる利益
販売費及び一般管理費水道光熱費や人件費などの必要経費
営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費
営業外収益借入金の支払利息など
営業外費用借入金の支払利息など
経常利益=営業利益-営業外費用+営業外収益
特別利益本来の営業とは関係なく臨時的に発生した利益
特別損失本来の営業とは関係なく臨時的に発生した損失
税引前当期純利益=経常利益-特別損益 
法人税等法人税、法人住民税など
当期純利益=税引前当期純利益-税金

 

損益計算書の中で重点的に見るべきポイントは、「売上高営業利益率」です。

「売上高営業利益率」は以下の式に当てはめることで求めることができます。

売上高営業利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

 

一般的には売上高営業利益率が5%を超えると業績が良い企業と判断されます。

商品やサービスの利用金額が高ければ、売上高が必然的に高くなりますので、「年商◯億円」などでアピールしている企業はしっかりと中身を分析する必要があるので注意しましょう。

②貸借対照表をチェックする

貸借対照表とは、企業が保有している「資産」「負債」「純資産」が記されている資料のことで、「Balance Sheet」の頭文字を取って「B/S」と表記されます。

貸借対照表を見れば企業の財務状態を把握することができるので、チェックしてみましょう。

貸借対照表には、以下のような項目が儲けられています。

【貸借対照表の記載項目】

項目内容
流動資産1年以内に現金化できる売掛金などの資産
固定資産不動産などすぐに現金化しにくい資産
流動負債買掛金などの1年以内に支払う必要があるお金
固定資産負債長期借入金などの1年以上かけて支払うことができるお金
純資産資本金など

 

貸借対照表の中で重点的に見るべきポイントは、「自己資本比率」です。

「自己資本比率」は以下の式で求めることができます。

自己資本比率(%)=純資産÷総資本×100

 

自己資本比率は20%を超えることが望ましく、50%を超える企業は経営状況が「極めて良好」、反対に20%以下が赤字や借入金過多になっていると判断できます。

気になる企業があれば、一度計算してみましょう。

③キャッシュフロー計算書をチェックする

キャッシュフロー計算書は、その決算における「お金の流れ」を示す資料です。

具体的には、決算の期首(会計期間の最初の時点)にお金がいくらあって、期中にどれくらい増減して、期末にどれだけ残っているか、ということが記載されています。

キャッシュフロー計算書に記載されている主な項目は以下のとおりです。

【キャッシュフロー計算書の記載項目】

項目内容
営業活動によるキャッシュフロー「営業で発生した収入と支出の差額」がわかる
投資活動によるキャッシュフロー「設備投資や資産売却などによるお金の流れ」がわかる
財務活動によるキャッシュフロー「足りなくなった資金を補った方法」がわかる

 

キャッシュフロー計算書の中で重点的に見るべきポイントは、「営業活動によるキャッシュフロー」です。

この数値がマイナスの場合は、会社の事業がうまくいっていないことを示しています。

上場企業とは

上場企業とは

そもそも上場企業とはどのような企業なのでしょうか。

まず「上場」の意味を確認しましょう。

「上場」とは、株式を証券取引所で売買できるようにすることを意味しています。

したがって「上場企業」は、発行している株式が証券取引所で売買されている会社のことを指します。

上場企業は5つに分類
  • 市場第一部企業
  • 市場第二部企業
  • JASDAQスタンダード企業
  • JASDAQグロース企業
  • マザーズ企業

耳にすることの多い「一部上場」という言葉は、「市場第一部で株式が売買できるようになった」という意味です。

上場企業は、すべての財務諸表を公表しなければならないため、上場企業の財務諸表は簡単に調べることができます。

上場企業の売上の調べ方

企業の売上を調べるには、財務諸表を見れば良いことがわかりました。

ここでは、上場企業の売上(財務諸表)の調べ方について解説します。

上場企業がホームページで公表している「有価証券報告書」と「決算短信」を見てみましょう。

①有価証券報告書をチェックする

有価証券報告書とは、財務諸表に加えて、企業の概況や事業の状況などを開示するための報告書のことです。

上場企業は決算日から3カ月以内にこれを公表しなければならないとされています。

この有価証券報告書は、上場企業のホームページや、金融庁のシステム「EDINET」※から確認することができます。

一定の要件を満たす企業は、有価証券報告書の提出義務があります。

ホームページを検索して決算情報が見つからない場合は、「EDINET」でも検索してみましょう。

事業内容や社員数、平均年収なども公開されているので、志望企業の有価証券報告書は必ずチェックするようにしてください。

※「EDINET」とは、「Electronic Disclosure for Investors’ NETwork」の略称で、金融庁が運営する電子開示システムのこと

 

②決算短信をチェックする

決算短信とは、決算書類の速報版のようなもので、上場企業は決算から1〜2カ月で公表します。

速報版とはいっても情報精度は高いため、企業の財務状況などさまざまな情報を把握することができる資料といえるでしょう。

有価証券報告書と同じく、上場企業のホームページやEDINETで見ることができますので参考にしてみてください。

また、以下の記事で上場企業について深掘りしていますのでぜひご覧ください。

非上場企業とは

非上場企業とは、上場していない企業、つまり発行している株式が証券取引所で売買されていない株式会社のことを指します。

「上場」のハードルは高く、株式会社の99%以上は非上場企業です。

そんな非上場企業は、上場企業と違い外部の人間が財務状況を把握するのは難しいといわれています。

なぜなら、多くの非上場企業が、本来義務付けられている「決算公告」をしていないからです。

財務諸表を含む「決算公告」の義務を怠った場合、100万円以下の過料という罰則があるものの、この罰則が適用された例はほとんどありません。

以上のとおり、非上場企業の売上を調べるのが難しいことは事実ですが、方法がないわけではありません。

非上場企業の売上の調べ方

非上場企業の売上の調べ方

「非上場企業の売上を調べたいのに、全然見つからない」このように悩んでいる就活生に向けて、非上場企業の売上の調べ方について解説していきます。

①『会社四季報の未上場会社版』をチェックする

東洋経済新報社の会社四季報 未上場会社版には、決算公告をしていない非上場企業の業績が掲載されています。

ただし、決算書類より情報の精度は劣りますので注意が必要です。

会社四季報 未上場会社版は、大学図書館等で取り扱いがあることが多いので、大学の図書館へ行って調べてみましょう。

②民間調査会社のデータをチェックする

会社四季報にも掲載されていない場合は、民間調査会社のデータを調べるのも一つの手です。

主な民間調査会社は以下のとおりです。

主な民間調査会社
  • 帝国データバンク
  • 東京商工リサーチ

このような民間調査会社のデータベースにも、非上場企業の業績等が記録されていることがありますので、どうしても財務状況を知りたいときは利用しても良いでしょう。

ただし、基本的に有料であり、決算書よりも情報の精度が低い傾向にあることには注意してください。

上記の方法に加え、上場企業のセクションで紹介したようにEDINETで有価証券報告書を調べたり、決算公告を検索したりしてみましょう。

非上場企業とはいえヒットする可能性があるので、試してみてくださいね。

また、非上場企業について深掘りした以下の記事もぜひご覧ください。

効率的にかつ正確に財務諸表をチェックする方法

効率的にかつ正確に財務諸表をチェックする方法

ここまで企業の売上の調べ方について解説してきましたが、「専門用語が並んでいてなんだかよくわからない」そのように感じた就活生は多いのではないでしょうか。

このセクションでは、効率的かつ正確に財務諸表をチェックする方法を紹介します。

簿記を取得する

財務諸表を正確に把握するためには、「簿記」の知識が必要です。

簿記とは、企業規模や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能のことを指します。

財務諸表を完璧に理解するには2級、おおまかに理解するのであれば3級が必要です。

簿記は経済活動の基本中の基本なので、取得しておいて損はありません。

簿記取得を目指すべき理由
  • 財務諸表をみて企業の経営状況を把握できる
  • 転職、就職に有利になる
  • 転職先、就職先を詳細に分析できる

このほかにもたくさんメリットがあります。

3級であれば50〜100時間程度の勉強で合格を目指せます。

ここまでの解説を読んでもよく理解できなかった、あるいはもっと専門知識を身につけたいと思った人は簿記に挑戦してみましょう。

簿記については以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

 

競合他社や年別推移をチェックする

企業の売上を調べる際は、競合他社や年別の売上推移を必ずチェックするようにしてください。

業界内でその売上が多いのか少ないのかは、1社だけリサーチしてもわかりません。

業界内での立ち位置などを知ることができますので必ず数社分は調べましょう。

また、年別の売上推移についても確認してください。

売上は伸びていているのか、落ち込んでいるのか、極端に売上が良い年、悪い年を把握しておきましょう。

そして、その原因は何なのかを突き止めておくと、企業分析が充実しているといえるでしょう。

売上に限った話ではないですが、常に比較対象を持つことを意識しておいてくださいね。

よくある質問

よくある質問

ここからは、企業の売上を調べる際に感じる疑問点について解説していきます。

ぜひ、参考にしてくださいね。

Q.官報で決算公告を調べるとき、非上場企業の情報を検索するにはどうすればいいの?

国立印刷局の「官報情報検索サービス」でキーワード検索ができます。有料のサービスですが、国立国会図書館内からは無料で利用できます。

Q.未上場企業データバンクはどこから見られるの?

現在は名称が「会社四季報未上場版データ」に変わっています。東洋経済新報社のホームページから見ることができます。

Q.非公開会社の財務諸表はどこで見られるの?

「非公開会社」とは、上場していない会社を意味するのではありません。「非上場」会社の財務諸表を見たいという意味でしたら、EDINETや官報、会社四季報の未上場会社版などを確認してみてください。

Q.ベンチャー企業の売上の調べ方は?

企業のホームページや、会社四季報の未上場会社版から調べられる可能性があります。

Q.上場企業の決算書の一覧はどこで見られるの?

EDINETなら各上場企業の決算書を見ることができます。

Q.企業情報は無料で調べられるの?

EDINETは無料で使えますし、会社四季報なども図書館を利用すれば無料です。

Q.会社の決算書を閲覧したいんだけど、非上場の場合はどうすればいい?

EDINETで有価証券報告書、官報や会社ホームページで決算公告を確認するほか、会社四季報未上場版にも掲載されているかもしれません。

Q.決算書を社員に見せないのっておかしい?

法的には決算書を社員に見せなければいけない義務はありません。

なんらかの理由があって見せていないのではないでしょうか。

Q.非上場企業は財務諸表の開示義務はないの?

すべての財務諸表を開示する義務はありませんが、財務諸表を含む決算公告の義務はあります。

さいごに

今回は、企業の売上の調べ方や、財務諸表を見るときのポイントなどについて解説してきました。

企業の売上は、事業規模を示すものであり、同業他社との市場シェア率や今後の伸びしろなどをチェックする重要な指標となります。

売上を確認する際、上場企業であれば、財務諸表を見ればすぐに把握することができます。

一方で、非上場企業は検索してもヒットしないケースが多いので、本記事で紹介した内容を参考にしてみてくださいね。

また、売上を調べるときは、該当の企業だけを調べるのではなく、必ず競合他社と比較したり、年度ごとの推移をチェックしたりするようにしましょう。

多角的に物事を分析することにより、新たな発見があるかもしれません。

この記事を参考にして企業研究を行っていただき、あなたの就活がうまくいくことを願っています。

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