内定辞退させない!5つの防止策
1.はじめに
時間も手間もかけてやっと出した内定を辞退されるのは、本当にショックですよね。
内定を出すということは、逆に言えば就活生に選択肢を与え、自由を与えるということでもあります。だからこそ、内定は慎重に出さなくてはなりません。
せっかくフォローし続けて来た就活生にできるだけ内定辞退されないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。
今回は内定辞退の防止策について5つご紹介していきたいと思います。
2.内定辞退対策に取り掛かる前に…
あなたの会社は、度重なる内定辞退に悩まされていますか?内定辞退の対策に取り掛かる前に、まずはその問題の重要性と緊急性を測るために次の2点を考えてみましょう。
・狙う就活生の層
・採用担当者の技量
まずはターゲットが適切かどうかを考えてみましょう。狙っている就活生の層が優秀であればあるほど、内定辞退される可能性は高くなりますが、同業他社だけが競合であれば内定辞退の可能性は当然低くなる傾向にあります。
また近年は人気な大手企業であっても、50%を超える内定辞退率は珍しくありません。こういった客観的な状況を踏まえた上で、本当に自分の企業は内定辞退される割合が高いのか、低いのかを判断し、そこに対策する分の人員やリソースを割くかどうかを考える必要があります。
それでも内定辞退率が高いと判断した場合、次の問題となるのが採用担当者の技量です。就活生が入社前にもっとも関わる社員は、採用担当者であることがほとんどです。
採用担当者の言動やアピールによって、会社全体の印象が変わることは少なくない。そのような環境で自社の採用担当者が、学生のフォローアップを適切に行えているのかを検討し直してみましょう。
以上の2点を検討した上で内定辞退防止策を見ていきましょう!
3.内定辞退を防ぐ5つの対策
では実際に5つの具体的な内定辞退防止策を見ていきます。
3-1.採用担当者からの自己開示
採用担当者のフォロー力を上げるためにまず行うべきなのは、就活生に対する自己開示です。
面接などでいきなり一方的に質問されても、就活生にとっては素性のわからないただの採用担当者でしかありません。相手の情報を引き出すには、先に自らの情報を差し出して、信頼関係を築くことが必要です。
自己開示を通して安心感を持たせ、就活生が話しやすい場の雰囲気を作りましょう。
自己開示では主に、経歴、今関わっている仕事の内容などの話をするのが妥当です。
特に経歴を通して入社動機を話すことは、就活生に好印象を与えるでしょう。企業案内や世間的な評判などではわからない、会社のリアルな声を聞くことで、就活生自身がその話を自分に照らし合わせることができます。
また、仕事内容や事業の説明をするときは、ビジネスモデルだけを提示しても就活生の心には刺さりません。その事業の「社会的意義」などを説明することで「知的好奇心」に訴えかけ、就活生側が共感しやすい情報を提供するように気をつけてみてください。
3-2.相手を知る
初めに自分のことを知ってもらい、信頼関係を築くことができたら、次に行うのは相手に関しての情報収集です。
不安や疑問など、ネガティブなことでも躊躇なく話してもらいましょう。もし会社のことを誤解したまま選考が進んでしまうと、その認識の誤差が将来的に内定辞退を招きかねません。
疑問点や質問に対する答え方のポイントとして、数字や事実ベースでキッパリと答えることが重要です。
例えば、組織風土に関する疑問に、「風通しが良い」などの抽象的な言葉を使うのではなく、会社を象徴するような事実や、社内でよく使われる言葉を使って返事をすると相手が安心して自分の中で疑問解消することができます。
会社としてネックな部分に関する指摘に対しては、「問題認識とその対策」や「トレードオフ」を伝えることで否定的な印象を避けることができます。
また、学生にとっての重要な他者の意見は必ず押さえておきましょう。多くの場合、就活生にとって重要な意見を提供する他社は親です。就活生の親が抱える懸念も取り除いておくと、そのあとの就活生自身の説得もしやすくなります。
3-3.追わずに口説く
最終的には内定後に辞退されないように、就活生を適度に説得し、勧誘しましょう。採用担当者側が、優しさや怯えにより口説こうとしないのでは、会社に対する就活生の気持ちも冷めてしまいます。就活生を脅したり、焦らせるような口説き方をしなければよいのです。
口説く方法として、学生側が求めてきたら惜しみなく情報を提供することを心がけるとよいです。こちらから攻めることはせず、学生に寄り添っていくことで、就活生の意思決定を促すのがスムーズになります。
ここで、情報提供のポイントについてさらに深掘りしていきましょう。
情報提供は、意思決定スタイルやモチベーションリソース、キャリア観に応じて行うことが大切です。
下の表をご覧ください。
(ここ表にする)
<意思決定スタイルごとの情報提供の対応>
論理型:
多くの情報を集めて熟考した上で、客観的な視点から一つの最適解を見出したいタイプには、情報を取捨選択し、矛盾のないストーリー仕立てで伝えましょう。会社を印象付けるフレーズやテーマを提示して、そこに一致する事実や理念を整理しておくとよいでしょう。
統合型:
多くの情報を入手し、選択肢を最後まで残しておきたいタイプには、多量かつ継続的に情報提供をして、相手が判断をするまで待ち続けましょう。このタイプには情報があればあるほど安心します。選考が行われている間も、内定決定後も定期的に連絡を取ったり面談を行うのが良いでしょう。
決断型:
少ない情報から次々と決断し、行きたい会社をどんどんと絞っていくタイプには、押しの一手であるポイントを簡潔に伝え、意思決定のタイミングを逃さないようにしましょう。このタイプは決断するまでが早いので、切り捨てるのが早いともいえます。会社として絶対に譲れないポイントや、アピールできるポイントは出し惜しみせず初めに伝えておきましょう。
柔軟型:
情報をあまり求めず、一つの事実から判断が変わりやすいタイプには、噂・デマに対して事前に正確な情報を伝えておきましょう。少ない情報からでも想像しアイデアが浮かびやすいタイプなので、推測で誤解を産ませないように面談などで認識のすり合わせを行いましょう。
学生に意思決定を促すタイミングになったら、こちらからメッセージを押し出すのではなく、自分で気付かせ相手の言葉を使うのがうまく口説くコツです。
いくら口説くためとはいえ、決して競合他社の批判やネガティブキャンペーンは厳禁です。自社以外の会社や業界への就活相談も積極的に行い、就活生の選社軸を自分の会社に合うよう引き寄せましょう。
3-4.1対1の内定出し
いよいよ内定を出そう!というときにも対策に気を抜いてはいけません。
内定を伝えるのは、必ず内定者とつながりのある人事担当者か、もしくは内定付与の権限を持つ責任者クラスの方が行うようにしましょう。
内定の伝え方も、機械的にメール・電話などであっさり内定告知するのはおすすめできません。これは就活生に内定の実感を与えにくく、自社への定着を減退させる恐れがあるからです。
実際に内定を出す際には呼んで、面接の感想・就活上京・気持ちを聞き、入社意思が高まっていたら内定を出す、という流れにすると内定後の自社へのロイヤルティが高まった状態に保つことができます。
他にも重要感を演出することも大切です。具体的には握手を交わしたり、お祝いの食事会を開いたり、書面を用意するなどしてなど採用者側として「内定」がどれほどやいせつなことかを暗黙に伝えましょう。
3-5.内定を出すタイミング
内定辞退防止策として見落とされやすいのが、内定を出すタイミングの調整です。
「最終面接合格」だからといってすぐ「内定」を出さなければいけないわけでもありません。「内定」は企業を拘束し、学生を自由にさせます。
「選考は合格しましたが、あなたの意思が確認出来次第、正式に内定を出します」という伝え方もできるので、オワハラ(就活終われハラスメント)にならないようにだけ注意し、就活生の意思決定を促して見るとよいでしょう。
4.おわりに
いかがでしたか?
内定辞退を防止するために大切なのは、就活生の信頼を獲得し、丁寧で慎重な内定だしを心がけることです。
内定を辞退されることは、企業にとってはわかってはいても苦しいものですよね。今回の記事を参考に、ぜひ内定を辞退を防止するべく、トライアンドエラーを繰り返し、自社にとって最適な対策方法を見つけていってください!
監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。