留学生が日本で就活するときのポイントを解説!万全に備えるための対策を紹介
2024/6/22更新
はじめに
日本を訪れる留学生の数は年々増え続けており、文部科学省の統計によると、外国人留学生の数は2023年5月時点で279,274人にものぼっています。
留学生の中には、日本で就活をしようと考えている人も少なくないでしょう。
しかし、「日本の企業の採用基準が分からない」「採用スケジュールが知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
日本と海外との就活では、採用基準や採用までの流れ、雇用形態など異なる点が多いのが実情です。
大きく違う点として、海外は「ジョブ型雇用」が一般的なのに対し、日本は「メンバーシップ型雇用」が一般的であることが挙げられます。
この記事では、留学生が日本で就活をする際のポイントと対策を紹介します。
また、日本での留学生の就職状況や日本企業が求める人材、就職活動のスケジュールに加え、業界や企業分析の方法もあわせて解説しています。
さらに、雇用形態の違いによるそれぞれのメリット、デメリットについても解説しています。
この記事を読めば、留学生が日本で就活するにあたって、必要な情報が分かるでしょう。
日本で内定を手に入れたい留学生は、ぜひ参考にしてください。
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留学生の就職状況は?
日本で就職する留学生の数は年々増加しています。
では、具体的にどのくらいの人数の留学生が就職し、どの規模の企業に勤めているのでしょうか。
ここでは、外国人留学生の就職者数や留学生の就職先企業について紹介します。
留学生の就職者数
外国人留学生の就職者数の推移は以下の通りです。
在留資格別の許可人数の推移 | 人数 |
2022年 | 33,415人 |
2021年 | 28,974人 |
2020年 | 29,689人 |
2019年 | 30,947人 |
2018年 | 25,942人 |
2017年 | 22,419人 |
日本留学情報サイトによると、2011年に日本で就職した外国人留学生は8,586人となっており、その後、年々留学生の数は増え続けています。
2020年、2021年には新型コロナ感染症の影響から若干就職者数は減少していますが、2022年には33,415人と過去最多を記録しました。
2011年から2022年までの10年の間に、外国人留学生の就職者数は約3.9倍に増加しているのが見て取れます。
人数としては増加しているものの、日本人学生の就職率が毎年90%後半を推移していることと比較すると、外国人留学生の就職率は高くないのが実情です。
日本で、外国人留学生が就職するのは決して簡単ではないと言えるでしょう。
留学生の就職先企業の規模
留学生の就職先企業の規模は以下の通りです。
就職先の従業員数の規模 | 就職割合 |
1人~49人 | 41.6% |
50人~99人 | 11.7% |
100人~299人 | 15.3% |
300人~999人 | 10.7% |
1,000人~1,999人 | 5.2% |
2,000人以上 | 10.1% |
不明 | 5.3% |
留学生が就職した企業の従業員の数を見てみると、従業員が1,000人以上のいわゆる大企業に就職している留学生は、約15%だと分かります。
一方で、半数以上の留学生は従業員が99人以下の小企業に就職しており、大企業よりも中小企業に就職した留学生が大多数です。
就職先に何を求めるかは人によって異なります。
しかし、日本の場合、一概に「大企業に勤めることが良い」というわけではありません。
仮に「中小企業は大企業の下請けだ」というイメージがある方がいるとすれば、日本の企業の場合にはそのイメージは当てはまらないこともあるでしょう。
なぜなら、日本の中小企業には、世界トップを誇る技術やトップシェアを持つ素晴らしい企業が多いのです。
留学生が就職先を選ぶ際は、会社の規模だけにこだわらず、各企業の事業内容をしっかりと見ることで就職先の選択肢が広がると言えるでしょう。
また、日本の場合、初任給は約20万円で、企業の規模によって大きな差はありません。
日本企業の採用基準
留学生が日本で就職活動をする際、気になるのが日本企業の採用基準についてです。
日本の就職活動の形式は、世界の中でも特殊であるため、戸惑う留学生も多いでしょう。
また、就職活動と一口に言っても、企業によって求める人材や雇用方式は異なるため注意が必要です。
ここでは、日本企業における採用基準を紹介します。
母国での就職とは違った観点での人材が求められていたり、雇用方式が違ったりする可能性があります。
日本の企業が求めているものは何なのか、どのような働き方ができるのかについて、しっかりと理解しておきましょう。
求める人材
日本の企業が求める人材は、それぞれの企業の社風や事業内容などによって異なります。
しかし、大多数の企業で大切にされている要素もあります。
日本の企業が新規職員を採用するにあたって、重要視している要素は以下の通りです。
- コミュニケーション能力
- 主体性
- チャレンジ精神
- 協調性
- 誠実性
仕事は、一人で行う作業もあれば、仲間と役割分担をしながら進めていく作業もあります。
そのような場合に必要となるのが、コミュニケーション能力や協調性です。
また、職場内だけでなく取引先などを含め、人間関係を構築する上で大切なのは誠実性だと言えるでしょう。
入社したから終わりではなく、入社してからがスタートです。
入社後も学び続ける姿勢を忘れず、向上心を持って様々な業務に挑戦するチャレンジ精神や受け身にならず自ら物事に取り組もうとする主体性を持ち合わせているかも、採用の際には重視されています。
日本の企業では、海外の企業に比べ、長い期間をかけて人材を育成する傾向にあります。
そのため、入社時点で持っている力よりも、入社後にどれだけ成長できるかを見越した採用が行われているといっても過言ではありません。
本来その人に備わっている潜在力や将来性を評価し、採用する「ポテンシャル採用」も行われています。
雇用方式
日本で主流なのは「メンバーシップ型雇用」です。
メンバーシップ型雇用とは、新卒の社員を総合職として一括採用し、勤務地や業務内容、労働時間を限定せずに雇用契約を結ぶ雇用形態を指します。
幅広い知識を持ち、様々な業務に対応できる人材を育てることを目的としており、安定した雇用や待遇はメリットと言えるでしょう。
一方、勤務地や業務内容、労働時間などが限定されていないメンバーシップ型雇用では、企業の都合で配置転換が行われます。
異動や転勤によって働く環境の全てが大きく変わってしまう可能性があるのは、人によってはデメリットになるでしょう。
海外では、業務内容や勤務地が限定された雇用形態である「ジョブ型雇用」が主流です。
業務内容を明確にすることで、その道のスペシャリストを育てるのを目的としています。
どれだけの能力を持ち合わせているかにより、雇用の継続や待遇が決まります。
ジョブ型雇用は業務内容や勤務地が限定されているため、企業と働く側にミスマッチが起こりにくくなるのがメリットと言えるでしょう。
一方で、企業の状況や方針の変更があった場合には、失業するリスクのある点はデメリットでもあります。
就職活動スケジュール
日本の就職活動が始まるのは、学部3年生、修士1年生、博士2年生の3月1日からです。
3月1日に各企業へのエントリーが始まり、6月中旬の適性検査・筆記試験まで約4カ月間続きます。
日本の就職活動では、多くの企業で同じスケジュールで選考が行われます。
採用のタイミングは年に一度の企業が多いため、事前にスケジュールを確認しておきましょう。
ここでは、就職活動のスケジュールを各ステップごとに詳しく解説します。
各ステップの概要が分かれば、どのような準備が必要か分かるでしょう。
エントリーや会社説明会
3月から各企業への資料請求や情報提供の申し込みを行う「エントリー」が始まります。
エントリーはその企業に興味があるという意思表示になり、企業から説明会の案内や選考情報、エントリーシートの提出期限などの情報が提供されます。
エントリーは、各企業のウェブサイトや合同企業説明会、就職情報サイトからできます。
また、各企業へのエントリーと同時期に「会社説明会」も行われます。
会社説明会は、企業が自社を知ってもらうために開催する説明会のことを指します。
会社説明会に参加すれば、企業の基本的な情報だけでなくウェブサイト上では知りえない情報まで得られる可能性があります。
採用担当者へ直接質問ができる機会が設けられている場合には、より詳細な情報を得られるでしょう。
エントリーシートの提出
就職したい企業を見つけたら「エントリーシート」を提出します。
「エントリーシート」とは、企業へ提出する応募書類の一つです。
氏名や住所、学歴などの基本的な情報に加え、自己PRや志望動機といった記入欄が設けられていることが多いでしょう。
エントリーシートの提出は就職活動における最初の試験で、エントリーシートの提出をもって採用試験への正式な申し込みとなります。
エントリーシートがどのように活用されるかは企業によって異なりますが、面接時の参考資料にしたり、大手企業などでは選考の第一段階として使われたりする場合もあります。
なぜその企業を志望したのか、自分のどのような人間なのかをアピールする大切な場であることを忘れず、しっかりと企業研究と自己分析を行ってから記入しましょう。
適性検査や筆記試験
適性検査や筆記試験は、学生が一定レベルの学力や知力を持ち合わせているか、社会人として必要な思考力や判断力、処理能力を持ち合わせてるかを把握するために行われる試験です。
適性検査の内容は、大きく分けて能力検査と性格検査の2つに分かれています。
能力検査は問題解決能力を測り、性格検査はその人の性格や性質を測るためのものです。
問題は選択方式で行われることが多く、限られた時間内で正確に問題を読み解けるかという部分も見られています。
筆記試験では国語や数学、英語などの科目に加え、時事問題、小論文なども出題されることもあります。
具体的な科目や難易度、合格点は企業によって異なるため、一概には言えません。
志望する企業が実施する筆記試験の種類が分かったら、過去問も解くなどして出題方式や解き方に慣れておきましょう。
面接
実際に企業の採用担当と顔を合わせて行うのが「面接」です。
日本での面接試験は一つの企業につき3回程度実施されることも多く、異なる担当者が複数にわたって就活生と話をすることで、就活生の考え方や性格などを見極めます。
面接では「就活生が持つ能力や性格」についてや「どうしてこの企業で働きたいのか」について、様々な角度から質問されることが多いでしょう。
事前によく聞かれる質問を調べ、どのように答えるのか考えておくのをおすすめします。
また、忘れがちなのが面接時のマナーです。
受付から退室までの流れをシミュレーションしておけば、慌てずに済むでしょう。
内定
最終選考を終え、企業から採用連絡がくると内定となります。
全ての選考を終えた6月以降に、まず「内々定」と呼ばれる仮の合格通知が出されます。
その後、10月頃に正式な内定が出る場合が多いでしょう。
留学生がおこなう就活対策
就活対策をなぜ行う必要があるのか疑問に思う留学生もいるでしょう。
就活対策を行う目的は、志望している企業の事業内容や求める人材を知り、自分の希望とのミスマッチを防ぐことです。
就活対策を行う中で、企業のことを知ることで「入社してみたら思っていたのと違った」「こんな仕事がしたいのではなかった」という事態を事前に防げるでしょう。
また、就活対策を行えば志望している企業が求めている人物像が分かり、それに合わせた自己PRを考えたり面接対策をしたりということが可能になります。
しっかりと企業分析を行うことで、それぞれの企業に合わせた対策ができ、より内定に近づくのです。
自己分析
自己分析は、就活をする上で欠かせないものです。
自己分析とは、自分がどのような人物なのかを理解するため、これまでの経験や考え方を振り返ることを指します。
自己分析を行うには、ウェブサイトで自己分析ができる診断ツールを使ったり、学校の授業や就活関係のイベントで行われている自己分析セミナーに参加したりする方法があります。
また、自己分析に関する書籍やウェブ上の記事もあるため、それらを参考に自分で自己分析を行っても良いでしょう。
自己分析を行えば、自分の得意なことや大切にしたいこと、やりたいことなどが分かります。
自分について深く理解することで、将来どのような仕事に就きたいのか、どのようなことがやりたいのかが明確になります。
自己分析で得た気付きは、どの企業に応募しようか考えるときに大きなヒントになるでしょう。
自己分析を行うことで、企業理念や業務内容が自分に合っているのか、自分の強みが生かせる企業なのかの判断材料になるのです。
また、エントリーシートや面接において、自己PRや自分の強みを話す際にも自己分析は役に立ちます。
自己分析をしっかりと行い自分のことを理解しておけば、企業から様々な質問を受けたときにも慌てずに、落ち着いて自分をアピールできるでしょう。
業界や企業分析
業界や企業分析とは、様々な職種や業界の種類や特徴を知り、理解を深めることです。
志望する企業や職種を選んだり、志望動機をまとめる際、事前に業界や企業の研究をしておくとより理解が深まり、志望先を選ぶヒントになるでしょう。
業界分析は、就活情報サイトや業界団体のウェブサイトを利用する方法や、新聞・ニュースを利用する方法があります。
その他には、業界研究セミナーや合同企業説明会を利用する方法もあります。
まずは業界全体の構造や動向を広く浅く把握し、気になる業界があれば、現状や今後の可能性について掘り下げて調べてみましょう。
企業分析は、企業のウェブサイトや会社説明会、就活情報サイトなどを利用して行います。
その他に、OB・OG訪問をしたり、インターンシップで実際に仕事を体験したりするのも良いでしょう。
会社概要や事業内容、業績などをはじめ、経営者の考えや今後の事業方針も見るとミスマッチの防止になります。
業界や企業分析を行えば、自分に合った企業に出会える可能性が高まります。
世の中には多くの業界や企業が溢れており、同じ業界であっても企業によってそれぞれ違いがあります。
分析を行い、明らかになった業界や企業の実情と自己分析を照らし合わせることで、自分に合った企業が見つかるでしょう。
また、業界や企業分析により得た知識は、選考にも役立ちます。
エントリーシートや面接で、業界や企業への関心を問う質問があった場合にも、しっかりと分析をしておけば自分なりの回答ができるでしょう。
「自分はこの企業で何がしたいのか」「どうしてこの企業が良いのか」を明確にしておけば、志望理由に厚みができ、説得力が増します。
業界や企業分析は、志望する企業を選ぶためだけでなく、選考対策にもつながるのです。
留学生に役立つ就活サイト
日本で就職を目指す留学生のために、留学生に特化した就活サイトがあります。
留学生に特化した就活サイトを使えば、外国人を積極的に採用している企業や自分の持っている強みを生かせる企業に出会える可能性が上がるでしょう。
ここでは、留学生に役立つ就活サイトを紹介します。
紹介する就活サイトを使えば、留学生ならではの観点から就活に役立つ情報を得られるでしょう。
マイナビ国際派就職
マイナビ国際派就職は、海外留学生とバイリンガルのための就職情報サイトです。
多くの企業情報を掲載しており、業務内容や募集職種など、採用に関する情報を一度に得られます。
企業を検索する際には、業種別に探す他、特色・特徴から探すことも可能です。
「外国語堪能な学生を歓迎する会社」や「持っている知識や経験、選考を生かせる会社」など、留学生ならではの特色・特徴を絞って、企業検索ができます。
マイナビ国際派主食では、企業の求人情報が見れるだけでなく、留学経験者の体験談が紹介されています。
実際に就職した先輩の話から学ぶことは多いでしょう。
また、夏と冬には「Grobal Career EXPO」が開催されていて、実際に人事担当に話を聞いたり面接を受けたりできる機会が設けられているのが特徴です。
グローバル人材、バイリンガルのための就活イベントを日本国内や海外、オンラインで行っており、イベントページからチェックできます。
自分の就職活動の状況や、留学期間に合わせたイベントに参加できて便利です。
グローバルリーダー
グローバルリーダーは、外国人留学生や海外大生、外国人のための就職情報サイトです。
求人情報はもちろん、就活におけるマニュアルや就職イベント、就職セミナーなどの情報が提供されています。
グローバルリーダーに掲載されている企業は、外国人留学生を積極的に採用したい企業のため、自分の強みを生かしながら就職活動を進められるでしょう。
ウェブサイトでは「御社と貴社の違いは?」「尊敬語と謙譲語の使い方は?」など、留学生が悩みがちな就活で使う日本語に関しての解説もされています。
自己分析から業界・職種研究の方法についても、分かりやすい言葉で解説されていて便利です。
日本ならではの就活におけるマナーについても、留学生にも分かりやすいようイラストや例文を用いて紹介されているため、すぐに実践できる情報が詰まった就活サイトだといえるでしょう。
まとめ
留学生が日本で就活をする際には、日本の企業が求める人物像や就活の流れ、雇用形態について理解を深めることが大切です。
また、自己分析や業界・企業分析を行うことで、自分が志望する企業選びのヒントとなり、実際の選考の受け答えにおいても役立ちます。
自己分析と企業分析の内容を元に志望動機や自分の強みを説明すれば、説得力が増し、他の就活生と差をつけることにも繋がるでしょう。
留学生向けの就活サイトを使えば、留学生を積極採用している企業を探せる他、留学生ならではの悩みに寄り添った情報も得られます。
自分に合った方法で情報収集や対策を行うことで、希望する企業の内定に近づけるでしょう。