就活の交通費は支給される?申請のポイントからマナーまで徹底解説
2025/8/26更新

この記事の監修者
三好 勝利(キャリアアドバイザー)
新卒で小学校教員となり、学級担任や学年主任などを務め、1000人以上の生徒の指導に携わる。その後、大手教育企業でのコンサルティング営業を経て、現在は株式会社ナイモノのキャリアアドバイザーとして250名以上の学生の就職支援に従事。未経験IT、総合職、人材など幅広い業界への支援実績を持つ。面接対策や自己PRの指導に定評があり、面接官の経験を生かした的確なアドバイスが強み。学生一人一人に寄り添い、ラフな雰囲気で親身に相談に乗ることを心がけている。
有料職業紹介事業許可番号13-ユ-306414
プライバシーマーク認定番号:17001872(02)
新卒で小学校教員となり、学級担任や学年主任などを務め、1000人以上の生徒の指導に携わる。その後、大手教育企業でのコンサルティング営業を経て、現在は株式会社ナイモノのキャリアアドバイザーとして250名以上の学生の就職支援に従事。未経験IT、総合職、人材など幅広い業界への支援実績を持つ。面接対策や自己PRの指導に定評があり、面接官の経験を生かした的確なアドバイスが強み。学生一人一人に寄り添い、ラフな雰囲気で親身に相談に乗ることを心がけている。
有料職業紹介事業許可番号13-ユ-306414
プライバシーマーク認定番号:17001872(02)
はじめに
就職活動では、説明会や面接への参加で交通費が大きな負担になることもありますよね。
企業から交通費支給があると助かる一方、「申請方法やマナーで失敗したくない」と不安に思う就活生も少なくありません。
お金が関わる手続きなだけに、ささいなミスが評価に響くのではと心配になりますよね。
そこで本記事では、交通費支給の仕組みや申請のポイント、そして好印象を与えるマナーまで分かりやすく解説します。
この記事を読めば手続きに関する不安がなくなり、自信を持って選考に集中できるようになりますよ。
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就活の交通費は原則自己負担
まず大前提として、就活における交通費は原則として自己負担です。
企業から交通費が支給されることもありますが、それはあくまで企業の配慮によるもの。この心構えを持つことが、正しいマナーの第一歩となります。
交通費の支給は企業の「配慮」と心得る
企業に、学生の交通費を支給する法的な義務はありません。交通費の支給は、あくまで学生の負担を軽くするための「配慮」です。
この点を理解しておけば、支給されない場合も納得でき、支給された際には心から感謝を伝えられます。就活を始める前に、交通費は自己負担と考えて資金を準備しておきましょう。
就活にかかる交通費の平均額は?
近年は対面での面接が増え、学生が支払う交通費も増加傾向にあります。
株式会社リクルートの調査によると、2025年卒の学生が6月までにかけた交通費は、平均で24,510円でした。
特に地方の学生は、都市部の企業へ行くだけでさらに大きな出費となります。
出典:株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2025年卒)」
一方で、株式会社マイナビの調査では、約7割(67.9%)の学生が企業から交通費や宿泊費を「支給された経験がある」と回答しています。
出典:株式会社マイナビ「2025年卒 学生就職モニター調査 6月の活動状況」
だからこそ、交通費支給の仕組みやマナーを正しく理解しておくことが、就職活動を進めるうえで非常に大切です。
就活で交通費が支給される3つのケース
交通費は原則自己負担ですが、企業が費用を支給してくれるケースも存在します。
ここでは、特に交通費が支給される可能性が高い3つのケースを紹介します。
ケース1:最終面接など選考フェーズが進んだ段階
交通費が支給されるタイミングとして最も多いのが、最終面接です。
選考が進むほど企業は有望な学生に「ぜひ最後まで選考を受けてほしい」と考えています。
交通費の支給は、選考辞退を防ぐ目的があります。
同時に「あなたに期待している」という企業からのメッセージでもあるのです。
ケース2:遠方の学生を対象とする場合
新幹線や飛行機での移動が必要な遠方の学生を対象に交通費を支給する企業も多くあります。
これは居住地による有利不利をなくし、全国から優秀な学生を採用したいという考えがあるためです。
どこからを「遠方」とするかの基準は、企業によって異なります。
ケース3:一部のインターンシップ参加時
全てのインターンシップではありませんが、交通費が支給される場合もあります。
特に数週間にわたる長期インターンシップや社員と同様に実務を行うものでは、支給されやすい傾向にあります。
一方で参加人数が多い1day仕事体験などでは、支給されないのが一般的です。
交通費の支給パターンとそれぞれの特徴
交通費の支給方法は、主に3つのパターンに分けられます。それぞれの特徴を事前に理解しておきましょう。
パターン1:かかった費用の「全額支給」
実際に利用した合理的な交通費を企業が全額負担する方式です。
最終面接などで、適用されることが多いと考えられます。
ただし「全額」といっても、無条件ではありません。新幹線の利用は、普通席のみといった規定があります。
パターン2:上限額が決められた「一部支給」
企業が「1万円まで」など、上限額を設定する方式です。上限を超えた分は、学生の自己負担となります。
企業側が費用を管理しやすく、多くの企業でこの方法が採用されています。
パターン3:居住地などに応じた「一律支給」
実際の交通費に関わらず全員に固定額を支給します。たとえば「一律1,000円」といったかたちです。
近距離の学生は、実費より多くもらえることもあります。
遠距離の場合は、自己負担が大きくなる可能性もあります。
【現在の就活トレンド】オンライン選考のメリットと活用法
近年、一次面接などを中心にオンラインで選考を行う企業が増えています。交通費が大きな負担となる学生にとって、これは嬉しい変化といえるでしょう。
最大のメリットは、交通費や宿泊費が一切かからない点です。これにより、就活全体の費用を大幅に抑えることができます。特に地方の学生にとっては、金銭的な負担を気にせず、全国の企業に挑戦できるチャンスが広がりました。
この流れを、賢く活用することが大切です。
まずは、オンライン選考を積極的に利用しましょう。興味のある企業に幅広くエントリーし、選考の初期段階で自分との相性を見極めます。そして、交通費や時間をかけるべき「本当に行きたい企業」を絞り込んでいきます。
最終面接など、重要度の高い対面選考に費用と時間を集中させる。これが、今の時代の賢い就活の進め方の一つです。
【準備編】交通費の申請前に確認すべきこと
交通費をスムーズに受け取るには、事前の準備が欠かせません。ここでは、申請前に確認すべきことを解説します。
支給の有無をメールでスマートに確認する方法【文例あり】
企業の募集要項や案内メールに、交通費に関する記載がない場合もあります。その際、「交通費は支給されますか?」と直接聞くのは避けましょう。
当日の持ち物を尋ねる形で、間接的に確認するのがスマートな方法です。準備をしっかりしたいという、前向きな姿勢として伝わります。
【メール文例】
件名: 〇月〇日面接の持ち物に関するご確認(〇〇大学・氏名)
本文:
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇大学の〇〇です。
〇月〇日の面接につきまして、当日の持ち物を確認させて頂きたくご連絡いたしました。
履歴書等の他に、交通費の精算などで印鑑や領収書など、持参が必要なものはございますでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
必要な書類は?交通手段別の準備リスト
申請には、支払いを証明する客観的な証拠書類が必要です。
領収書は、企業名で書いてもらいましょう。また「但し書き」は「交通費として」と具体的に記載してもらうとより丁寧です。
利用する交通手段ごとに、準備すべきものを確認しましょう。
新幹線・飛行機の場合:領収書
新幹線や飛行機では、必ず正式な領収書をもらいましょう。券売機の場合は「領収書発行」ボタンを押します。有人の窓口で購入する場合は、係員に発行を依頼してください。
えきねっと等のネット予約の場合は、決済後にサイトから公式な電子領収書を印刷します。予約確認メールの画面コピーではなく、正式な書類を提出するのがマナーです。
在来線・路線バスの場合:ICカードの利用履歴
SuicaやPASMOなどを利用した場合、駅の券売機で「利用履歴」を印字できます。これが領収書の代わりとなります。
モバイルSuica/PASMOの場合は、会員メニューサイトから利用履歴の印刷が可能です。アプリのスクリーンショットで良いか、事前に確認しておくとさらに安心でしょう。
注意点としてICカードの履歴は、印字できる件数に上限があります。面接の往復移動が終わったら、すぐに印字してください。
宿泊が伴う場合:宿泊費の領収書
遠征就活で宿泊が必要な場合、宿泊費も支給対象となることがあります。チェックアウトの際に、必ず領収書の発行を依頼しましょう。
宛名は交通費と同様に、企業の正式名称で発行してもらいます。但し書きは「宿泊代として」と、明確に記載してもらうのがマナーです。
ここで最も重要なのが、個人的な費用を含めないことです。もし食事代などが含まれる場合は、領収書を分けてもらいましょう。純粋な「室料」のみの領収書を準備するのが、ビジネスの基本です。
【マナー編】交通費の正しい申請手続きと受け取り方
事前の準備が完了したら、次は当日の手続きです。スマートな立ち振る舞いで、好印象につなげましょう。
当日の持ち物チェックリスト
交通費の申請で慌てないように、当日の持ち物は事前に確認しておきましょう。以下の5点は、クリアファイルなどにまとめておくと安心です。
- 証拠書類(領収書・ICカード利用履歴など)
- 印鑑(シャチハタは不可。朱肉を使う認印)
- 学生証(本人確認で提示を求められる場合がある)
- 振込先口座情報(キャッシュカードや通帳のコピー)
- 筆記用具(黒のボールペン)
封筒の準備とスマートな渡し方
領収書などの書類は、そのままカバンから出すのではなく、綺麗な封筒に入れて持参すると丁寧な印象を与えます。無地の白い封筒が最も望ましいです。
封筒の表には、ボールペンで「交通費精算書・領収書在中」と書いておくと親切です。
書類を渡すタイミングは、担当者から促された時が基本です。面接終了後、担当者から「領収書をお願いします」などと声がかかります。その際に「はい、こちらでございます」と添え、両手で丁寧に手渡しましょう。
交通費精算書の書き方と押印の基本
当日は、企業が用意した「交通費精算書」に記入するのが一般的です。利用した日付や区間、交通機関、金額などを正確に記入します。
書類への押印は、「記載内容に間違いありません」という意思を示す大切な証明です。日本のビジネスにおける重要な慣習として覚えておきましょう。
支給金の受け取り方(当日現金・後日振込)
支給金の受け取り方は、主に2パターンです。
1つは、面接当日その場で現金を受け取る方法です。もう1つは、後日指定の口座に振り込まれる方法になります。後日振込の場合は、企業の経理処理に時間がかかることもあるため、焦らずに待ちましょう。
支給後のお礼はメールですべき?
面接後には、お礼のメールを送るのがマナーです。その際に、交通費を支給されたことへの感謝も、一言添えておきましょう。
【お礼メールへの追記文例】
(前略)
また、交通費のご支給につきましても、心より御礼申し上げます。
(後略)
この一文があるだけで、丁寧で感謝を忘れない人という印象を与えることができます。
交通費を受け取る際の注意点とNG行動
交通費の申請には、社会人としての誠実さが問われます。評価を下げないためにも注意点とNG行動を事前に知っておきましょう。
絶対NG!交通費の水増し・虚偽申請のリスク
いかなる理由があっても正直に申請することが絶対のルールです。
たとえば、実際より高い金額を申請する「水増し請求」は許されません。また、夜行バスを利用したのに新幹線代を請求するなどの「虚偽申請」も同様です。
これらの不正行為が発覚した場合、内定取り消しにつながる可能性もあります。軽い気持ちで行った不正が、あなたの信頼を大きく損なうことを理解しておきましょう。
移動経路は「常識的で合理的」なルートを選ぶ
企業側は、あなたが万全の状態で面接に臨むことを期待しています。そのため移動経路は「常識的で合理的」なルートを選びましょう。
交通費を切り詰めるために、極端に時間がかかるルートを選ぶ必要はありません。以下にOK例とNG例をまとめました。
<OK例>
- 長距離の移動で新幹線や特急を利用する
- 少し割高でも、乗り換えが少なく済むルートを選ぶ
<NG例>
- 企業の許可なく、新幹線のグリーン車や飛行機のビジネスクラスを利用する
- 電車遅延などの正当な理由なく、自己判断でタクシーを利用する
大学や別企業から向かう場合の申請区間
就活中は、大学や他の企業の選考から直接面接会場へ向かうこともあります。
このような場合は、実際に移動した区間ではありません。履歴書に記載した自宅の最寄り駅から、企業までの最短ルートで申請するのが基本ルールです。
同日に複数社から支給される場合のマナー
同日の選考で、複数の企業から交通費が支給されるケースも考えられます。この場合、交通費を二重に受け取ることは絶対にやめましょう。これは「虚偽申請」と同じく、重大なマナー違反です。
最も誠実な対応は、以下のような方法です。
- まず、主要な交通費(新幹線代など)を、本命の1社にのみ申請します。
- そして、もう一方の企業には、正直に事情を伝えます。その上で、追加でかかった移動費(例:最寄り駅からの電車代)のみを申請しましょう。
手間はかかりますが、このような誠実な姿勢は、企業からの信頼を大きく高めるはずです。
企業だけじゃない!交通費の負担を軽くするサポート制度
就活の費用負担を軽減する方法は、企業からの支給だけではありません。自治体や大学が設けているサポート制度も積極的に活用しましょう。
地方自治体のUターン・Iターン就活支援制度
多くの都道府県や市区町村では、学生の就職活動を支援する制度を設けています。これは、地元企業へのUターン就職などを促進するための取り組みです。
制度の内容はさまざまですが、面接にかかる交通費や宿泊費の一部を補助してくれるケースが多くあります。
まずはあなたの出身地や、就職を希望する地域の自治体ウェブサイトを確認してみましょう。「〇〇県 Uターン 就活 支援金」や「△△市 交通費 補助」といったキーワードで検索するのがおすすめです。
大学のキャリアセンターが提供する補助金や支援
あなたが所属する大学にも、独自の就職活動支援制度があるかもしれません。まずは、キャリアセンターや学生課に相談してみましょう。
大学によっては、遠方での就職活動にかかる交通費を一部補助してくれる場合があります。
見落としがちな制度ですが、学生のために用意された貴重なサポートです。活用しないのはもったいないので、一度確認してみてください。
交通費支給に関するよくある質問(Q&A)
最後に交通費の申請で起こりがちなトラブルや疑問についてQ&A形式で解説します。慌てず誠実に対応することが大切です。
Q1. 領収書をなくしてしまったら?
- まずは落ち着いてすぐに採用担当者に報告しましょう。隠したり、ごまかしたりするのはよくありません。
正直に伝え、どうすればよいか指示を仰いでください。企業によっては、代替の手段を案内してくれる場合があります。
Q2. 当日、印鑑を忘れたら?
- こちらも正直に、忘れてしまったことを担当者に伝えましょう。
企業によっては、拇印やサインで対応してくれることもあります。または、後日書類を郵送するよう指示される場合もあります。
Q3. 申請書を書き間違えた時の訂正方法は?
- ビジネス書類では、修正テープや修正液の使用はNGです。間違えた箇所に定規で二重線を引きその上から訂正印として押印します。そして、近くの余白に正しい内容を記入してください。もし大きく書き損じた場合は、素直に新しい用紙をもらえないか尋ねましょう。
Q4. 領収書の宛名はどうすればいい?
- 領収書の宛名は、企業の正式名称で書いてもらうのが確実です。「上様」や空欄は、避けるようにしましょう
もし宛名なしで受け取ってしまった場合は、担当者に正直に伝え、どうすればよいか確認してください。
Q5. 交通費が企業の支給上限額を超えてしまったら?
- 遠方からの就活では、実際の交通費が支給上限額を超えることもあります。その場合、超過した分は自己負担となります。
企業の上限額は、あくまで負担を「軽減」するためのものです。もしその企業への志望度が高いのであれば、超過分は将来への「自己投資」と捉えましょう。自己負担を理由に選考を辞退すると、入社意欲が低いと判断されかねません。
Q6. 交通費の振込がなかなかされない場合は?
- 申請から振込まで、企業の経理処理には時間がかかります。まずは1ヶ月ほど、焦らずに待つのがマナーです。
もし1ヶ月を過ぎても入金が確認できない場合は、催促ではなく「確認」という形で丁寧にメールで問い合わせてみましょう。
【メール文例】
件名: 交通費精算のお振込みに関するご確認(〇〇大学・氏名)
本文:
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇大学の〇〇です。
先日は、面接の機会をいただき誠にありがとうございました。
大変恐縮ながら、〇月〇日に申請いたしました交通費のお振込み状況について、ご確認いただくことは可能でしょうか。
お忙しいところ申し訳ございませんが、お手すきの際にでもご返信いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
【面接頻出質問集】100種類の回答例をいつでもスマホからチェックできる!
面接対策に悩んでいる方にピッタリの面接頻出質問集を用意しました。
質問と回答例は、全部で100種類あります。
さいごに
今回は、就活における交通費支給について解説しました。
支給の仕組みから、具体的な申請マナーまでご理解いただけたでしょうか。
交通費の申請は、単なる事務手続きではありません。
あなたの誠実さや丁寧さを示す自己PRの機会でもあります。
正しいマナーを実践することが、企業からの信頼につながります。
手続きに関する不安を自信に変えてください。
万全の準備で、第一志望の選考に臨んでくださいね。