映画会社に就職したい!映画に関わる業界と仕事を分析
2024/05/25更新
はじめに
映画が好きな人のなかには、就職しても映画に携われるような仕事がしたいと考えている人も多いと思います。
映画を通じて人々の生活や人生経験を豊かにしたり、映画という娯楽によって地域や経済を活性させたりすることは、とても重要な役割といえるでしょう。
本記事では、以下のような方に向けたものとなります。
- 映画に携わる会社について知りたい
- 映画に関わる会社の新卒採用状況や難易度などを把握したい
- そもそも映画に関わる仕事にはどんなものがあるか、就職活動に向けてどう取り組んでいくかのアドバイスを知りたい
本記事をとおして、皆さんにとってより良い就職活動ができることを願っています。
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映画産業の動向と見通しについて(2024年時点)
ここでは、日本国内における映画産業の状況と、これから将来に向けてどのような課題を認識し、業界がどのように進もうとしているかについて紹介します。
業界研究としてはかなり基礎的な情報となるため、実際に本格的な就職活動を迎えるには、さらに深掘りして業界研究や企業研究を進めるようにしてください。
映画業界の数字や実績を確認する
2023年の映画の興行収入(映画館の入場料金収入)は2,214億円、年間入場者数(延べ人数)は1億5,554万人となっています。
映画産業をはじめとするエンターテインメント業界の多くは、新型コロナ流行による影響で、特に外出制限が行われた2020年に大きな打撃を受けました。
それから数年経過し、ほぼコロナ前の生活水準が戻ってはきたものの、コロナ直前の2019年の興行収入2,500億円、入場者1億9,490万人には戻っていない状況です。
しかし、コロナ流行の間で壊滅的な状況となったのは、日本よりも厳しい外出禁止令が出された海外映画の上映が大幅に減ったことであり、現在も海外映画は完全に戻りきれていないほか、社会問題なども影響して、話題作やヒット作に恵まれず伸び悩んでいる状態です。
一方で、邦画は2020年こそ1,090億円に落ち込んだものの、コロナ以前・コロナ以降も1,200億円台を維持して日本国内の映画産業を支えてきました。
特に2022年以降の邦画はアニメ映画の連続ヒットがけん引し、高水準で推移しています。
映画を上映する環境においては、現在日本には約3,600スクリーン(1施設内に複数スクリーンを持つ場合あり)、その多くは大型商業施設に併設されている「シネマコンプレックス」という形態です。
こうした施設の開業も新型コロナで一時期落ち込み、その影響で閉館してしまった施設もありますが、特にシネマコンプレックスは商業施設の再開発に伴って年々数を増やしており、現在、2000年以降の集計としては最多スクリーン数を更新している状態です。
数字を見る限りは堅調な成長を遂げているといえますが、ヒット作が出るかどうかや、コロナのような特殊な例、災害や社会的情勢によっては売上が不安定になる可能性がある点は否めないでしょう。
映画業界の課題や今後について
ここでは映画業界の課題や、今後の見通しについていくつかの見解を紹介いたします。
課題1:労働環境と人材育成
近年はどの業界でも人材不足に悩んでいますが、映画業界は他のビジネスとは違う専門性を伴うことで、より人手不足が深刻です。
同時に、映画制作のみならず、作品を断続的に提供し続けるというビジネス形態によって、短いスパンで稼働ピークを迎えることもあって、業界全体として長時間労働や休日出勤が頻繁に起こるという傾向もあります。
業界としては持続可能な働き方としての改善に取り組んでいる最中ではありますが、まだこれといった決定打が出せていない点があります。
課題2:ミニシアターなどの個性派劇場の減少
シネマコンプレックスなどの映画館施設数や来場者数は伸びている傾向にあり、全国規模の大ヒット作が地域関係なく広まっている環境がある一方で、従来映画として親しまれてきたミニシアター系の閉鎖が続いています。
売上としては小さいかもしれませんが、こういったミニシアターから口コミで話題となり全国規模で大ヒットするということは過去に何度もあったため、映画業界独特の商流の一つが失われている状況にあります。
また、動画配信ビジネスが台頭することで、映画館で見ることの機会を失っていくことも懸念材料です。
見通し1:動画配信ビジネスからの新しい商流
商売の上で競合ともいえる動画配信サイトのコンテンツから、映画化するという流れができており、テレビの影響力が弱まっても、若者向けの媒体がテレビから動画配信サイトに変わったとしても、映画というものが特別な位置づけにあることはいまでも変わっていません。
ヒット作を生み出せる環境がある限りは、映画も引き続き活躍できる時代といえます。
動画配信ビジネスは従来メディアとは違う切り口で戦略を行うことが可能です。
例えば、映画の予告編動画を無料で公開するなど、映画と親和性の高い形で、視聴者を映画館に呼び込むなどの新しい動きも活発です。
見通し2:映画館という場の再評価が進む
新型コロナの影響で一時的な巣ごもり需要を経た結果、いつでも映画が見られる動画配信の便利さの一方で、映画館でみる映画の良さも再評価されている状況です。
上映スクリーンの過去最多数を更新していることや入場者数が伸び続けていることも、映画が活況になっていることを示しているといえるでしょう。
映画館でなければできないような大画面、音響を売りにした高性能機器を導入した劇場や、テーマパークのアトラクションのような体感型・没入型の仕組みを取り入れた劇場、人が集まることの楽しさを目指した応援上映や、ライブビューイングといった映画館発の新しい楽しみ方も増えている状況です。
このため、映画館が今後たとえ入場料の値上げをしても、付加価値として受け入れられる環境が整いつつあるともいえます。
映画産業を支える業界を知る
ここでは、具体的に「映画業界」とはどこを指すのかについて具体的に説明します。
映画業界にすでに詳しい人であれば既知のことかもしれませんが、漠然と映画と関わりたいと考えている人に向けて、映画を作ることだけではないことを知っていいただければ幸いです。
映画を作ることはできなくても、仕事で映画に関わることができる可能性は十分ありますので、ぜひいろいろと調べてみてください。
映画制作会社
映画の作品を作り上げる組織そのもので、メーカーのような存在です。
映画会社の社員が実際に作品を作り上げる場合もあれば、さらに専門的なプロダクションと提携しながら制作管理を行っていくという役割を持つ場合もあります。
映画制作に直接携わるような職を新卒ですぐに任されることはありませんが、経験を積むことでプロデュースや管理面での役割を果たせる可能性は十分あるでしょう。
代表的な映画制作会社と、近年の人材募集の概要を紹介します。
会社名 | 特徴 | 新卒採用の有無(2024年) |
東宝株式会社 | 国内トップシェア。アニメや不動産に強み | 総合職一括採用 |
東映株式会社 | イベントプロモーション、催事などコンテンツ事業に強み | 総合職(事務・企画・営業) |
株式会社東北新社 | 広告映像制作が業界トップ | 総合職、広告制作職 |
松竹株式会社 | 演劇興行に特徴 | 総合職(映像、演劇、事業、管理) |
映画配給会社(映画制作会社の事業部に含まれる場合あり)
映画として作品を作り上げたあと、人々に公開させるために作品を買い付け、映画興行会社に上映するようにビジネス面で交渉をして、映画を観に来る人たちへの興味関心を持たせる広告を展開するのが「映画配給会社」です。
映画作成会社の部署として配給を担当する部門がある場合もあります。
配給会社は、特に海外作品の日本での上映権を取得するにあたって会社名が前面に出てくるので、海外映画が好きな人には親しみがあるのではないでしょうか。
代表的な映画配給会社と、近年の人材募集の概要を紹介します。
会社名 | 特徴 | 新卒採用の有無 |
株式会社KADOKAWA | 出版・ゲーム・ウェブなどメディアに総合的な強み | 総合職(編集・プロデュース・戦略) |
東宝株式会社 | 制作も日本トップシェア | 総合職一括採用 |
株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント | 海外映画(特にアメリカ)の配給に強み | (新卒採用なし) |
ウォルトディズニージャパン株式会社 | ディズニーランド運営 | (新卒採用なし) |
映画興行の事業を持つ会社
実際に映画を上映するための施設や環境を提供・運営する会社です。
近年は映画専用設備よりも総合商業施設内に設備を構えるシネマコンプレックスが多く、その運営会社が担当します。
映画興行を専門としているわけではなく、多角的に行っている事業の一つが映画興行の場合があるので、その会社で必ずしも映画に関われるわけではありません。
代表的な映画興行事業を持つ会社と、近年の人材募集の概要を紹介します。
会社名 | 特徴 | 新卒採用の有無 |
株式会社ローソン・ユナイテッドシネマ | ユナイテッドシネマ運営 | 年度により新卒採用なしの場合あり |
TOHOシネマズ株式会社 | TOHOシネマズ運営、グッズ企画など | 総合職(劇場マネージャー) |
イオンエンターテイメント株式会社 | イオンシネマ運営 | 劇場マネージャー、本社管理職 |
株式会社ティ・ジョイ | T・ジョイ運営、東映系の映画配給に強み | (新卒採用ではなく、通常の正社員応募実施) |
その他、映画に関わる可能性のある業界
上記以外でも、映画に関わることのできる可能性があるいくつかの業種があります。
ただし、映画事業は限られた分野になるため、全く関係ない会社に入るより可能性があるというだけで、あまり映画事業に関わりたいことを前面に出して志望動機にすることはおすすめしません。
テレビ局
テレビドラマやアニメがヒットすることで映画化されるのはこれまでも王道のビジネスで今後も競業を進めていく可能性が高いです。
テレビ局は、映画との関連を引き合いに出すまでもなく、いまでも極めて競争率の高い花形企業であり、映画制作に関与するような大型プロジェクトに参加するのは多くの場合、地方局ではなく首都圏のキー局が担いますので、就職難易度としては最高クラスです。
広告代理店
全国規模で上映される映画には、ほぼ広告代理店の関与があります。
業界の成り立ちから考えても映画業界とは縁が深く、その後テレビ業界、そして現在はネット業界でも立ち回っていますので、業界の強みやノウハウを広く発揮しています。
広告代理店自体も就活生には非常に人気のある業種のため、競争率は極めて高いです。
この世に会社がある限り決してニーズが尽きない業種であり、しかも業務も多彩かつ大量にあるため、高収入の業界ながら、競争や業務量の多さでも有名です。
出版会社・グッズ関連
映画につきもののパンフレットやグッズの作成を行う会社は数多く存在します。
こうした映画に関する周辺のアイテムは、制作会社や配給会社ではなく、外注企業、特に映画を強みにしているような企業で行われる場合があり、映画に近い立場から仕事を行うことができる可能性があります。
会社の規模が小さくても、責任は重いながらも裁量が大きい仕事ができるでしょう。
映画会社で働きたいなら、いまできること
いくつかの映画に関わる業界を紹介しましたが、それらを踏まえ、やはり映画に関わる仕事に就職したい!という方に向けて、いまできることは何かについていくつかアドバイスをします。
実際に就職活動を進めるまで、さまざまな興味を元に動くことはとても良いことで、自己分析を進めていく結果、自分に相応しいと思える会社に出会える可能性もあります。
ここでのアドバイスは、映画業界に限らず「製品やサービスを一般向けに提供している」企業への取り組み方にも通じるところがありますので、ぜひ読んでみて、自分なりの思いやこれからの行動を考えてみるきっかけとなれば幸いです。
「映画だけじゃない」企業への過度のアピールに注意
特に映画が好きな人にとって、映画に携わる人になりたい!と強くアピールしたくなるかもしれません。
それをやってみたいという強い意志があることはとても良いことですが、このアピールがあまりにも強すぎると、逆に選択肢や可能性を狭めていく可能性があります。
先ほど映画を支える業界でも記載したとおり、現在映画1本で取り組んでいるという企業はほとんどなく、幅広い業態のなかの一つに映画制作やそれを支えるビジネスがあるという状況です。
あなたが現時点で映画に関する専門的な専攻を受けていないのであれば、新卒入社してすぐに映画に関わる業務ができる可能性は低いでしょう。
興味の第一歩として映画が好き、映画に関われる仕事をしたいというのは大切ですし、そう思えることはあなたの大事な個性なのでそれ自体を無視する必要はありません。
映画が好き、映画に携わりたいというあなたの気持ちをもう少し深掘りしていくと、「映画」だけではないもっと大きな意味での自己実現ができる可能性があります。
- 何かを表現することそのものへの興味や、それを支えていきたい(出版・映像などのメディア関連)
- 新しいものを発信することや、それを人々に広めていきたい(広告・企画・営業など)
- 人々の集まる催事やイベントを作ったり支えること(イベント企画・プランナーなど)
映画という枠のどのような側面に惹かれているのかを自己分析していく結果、もしかしたらあなたの可能性や思いもよらなかった業界や働き方に新たに興味がわくかもしれません。
ぜひあなたが何をしたいか、どうしたいかについて深く分析をしてみてください。
映画の知識より、映画のビジネスを活性化させるスキル
映画に関連する業界に入るなら、映画そのものの知識がないといけないのでは、と考えている人がいるかもしれません。
もちろん、これまでの人生で映画に深く関わったのであれば、その知識や経験はとても大切なものです。
しかし、映画業界に入るにあたって、いまからたくさんの映画に触れなければ、ということはまったくありません。
そこまでしなくてもよい、もしくはそれよりもやったほうがいいことがあるのではないでしょうか?
以下にもう少し具体的にアドバイスをします。
映画に携わる人に求められるのは知識よりも折衝力や管理能力
映画を世に公開させそれをビジネスとして成功させるためには、もちろん作品自体の魅力も必要ですが、それは専門の才能を持った人(俳優や監督など)に委ねるしかありません。
そういった芸術面での専門性以外で求められるのは、ビジネスとしての折衝能力やさまざまな物事をコントロールできる管理能力です。
映画はほぼ毎週何らかの新作が出て、人気作かどうかにもよりますがそれが1〜3カ月ほどで入れ替わっていきます。
上映や興行という点に関しては比較的短いスパンで進行し、利益を最大化するためには繊細な管理能力が求められる業種といえるでしょう。
しかも、取り扱う作品の性質や客層もめまぐるしくかわり、さらに時代や流行にも敏感に影響を受ける特性から、受け身ではなく自分で考えてコントロールできなければならないので、管理の種類としても難易度は高めです。
映画が好きで映画に詳しいというあなたの主観的な特性よりも、こういった折衝力や管理能力の高さを裏付けるエピソードや、行動力があることのほうが、映画業界としては幅広く受け入れられるでしょう。
映画興行についてもしっかり興味を持つ
映画好きがアピールにならないなら映画からは距離を取ってそういったスキル研鑽に専念しよう…と考えてもよいですが、これらの管理能力は結局学生時代の実績と社会人で求められることには大きな差があります。
こういった管理の能力についても、大学の専攻としてプロジェクト運用や経済関係の理解などをしていれば、即戦力として活かせる可能性がありますが、そうじゃない人が独学で学ぶにも限界はあります。
それであれば、やはり学生ならではの経験で、自分の気づきやあなたなりの考えを持っているほうが、より好ましいでしょう。
一つの手としては、特定の映画に詳しくなる必要はないですが、実際に映画館に足を運んでみてください。
そこで見るべきは、働いている人たちがどのような動きをしているか、映画公開にむけて消費者の気を向けるためのどのような企画があるか、など、映画興行の現場の空気に触れてみましょう。
あなたが将来こういった仕事に携わりたいという観点で見たとき、また違った印象や気付きがあるかもしれません。
まとめ
映画会社に入りたいと考えている人に向けた、映画業界の基本的な情報や、これから就職活動に入っていくにあたっての心構えなどをお伝えしました。
映画を支える数多くの業界が存在し、映画だけではないさまざまな事業にも展開することでビジネスや産業を支えています。
「映画が好き」「映画に関わる仕事がしたい」というあなたの思いはもちろん大事ですが、それをごり押ししても選択や可能性を狭めるため、あなたのその思いの源が何なのかの自己分析をしていくと、あなたのやりたい仕事ややりがいがどこにあるかを見いだせる可能性があります。
この記事によって、より良い就職活動が行えることを願っております。