【業界研究】情報処理サービス業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説
2023年8月24日更新
はじめに
「情報処理サービス業界への就職に興味があるけど、業界について詳しく知らないなぁ」
このように感じている就活生も多いのではないでしょうか。
業界研究が大事だという話しはよく聞くものの、実際に何から調べていいか迷ってしまうものです。
そこで今回は、情報処理サービス業界への就活に必要な情報について分かりやすく解説します。
この記事を読めば情報処理サービス業界について把握できるので、ぜひ最後までお読みください。
情報処理サービス業界とは?
情報処理サービス業界とは、多岐にわたる企業のニーズに合わせて、システムの設計、開発、構築、さらには運用と保守を担当し、企業がスムーズに業務を行えるようにサポートする業界です。
この業界の企業は主に法人向けの取引が中心で、顧客企業の要求に応じたシステムの構築や運用支援を行っています。
一連の業務を包括してコーディネートする企業は、「システムインテグレータ(SIer)」と一般に称されます。
システムの構築には、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークの複合的な組み合わせが必要であり、そのためにシステム開発会社、ソフトウェア会社、ハードウェア会社、通信会社など、多岐にわたる協力会社との連携が不可欠です。
情報処理サービス業界のビジネスモデル
情報処理サービス業界はシステムの構築や運用だけではなく、顧客企業に対して業務効率化を提案するコンサルタント業務も含まれます。
情報処理サービス業界はSIer(エスアイヤー)とSES(System Engineering Service)に分かれます。
SIer(エスアイヤー)
SIerとは非IT系企業や官公庁などに対してITシステムのコンサルティング、設計、開発、運用、およびハードウェア選定などを一元的に行う企業のことを指す言葉です。
これらの業務は、システムインテグレーション(SI)事業とも称されます。
SIerは、大きく「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」の三つのカテゴリーに分類されることが一般的です。
代表的なSIerは以下の通りです。
メーカー系(コンピュータメーカー企業系列のシステム) | 日立製作所、東芝、NEC |
ユーザー系(大手企業系列のシステム) | みずほ情報総研、三菱総合研究所、大和総研、NTTデータ、ソフトバンク・テクノロジー、日鉄ソリューションズ、ネットワンシステムズ |
独立系(メーカー系、ユーザ系に属さない) | 大塚商会、ITホールディングス、トランスコスモス |
SES
SESとは、System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称です。
IT業界の中の「契約形態」の一つで、準委任契約のことを指します。
準委任契約とは「技術力と労働力を提供する」を主目的とする契約形態で、特定の仕事の完成責任を負わず、働いた時間に基づいて報酬を得る方式です。
SIerが開発を担当する一方で、このような労働力提供に特化したSES企業も存在します。
これらの企業は大抵、自社の社員を顧客企業のオフィスに常駐させる、いわゆる客先常駐型の契約を結びます。
情報処理業界の職種
情報処理サービス業界では以下の4つの職種に分かれます。
- システムエンジニア(SE)
- ITコンサルタント
- インフラエンジニア
- セールスエンジニア
それぞれ解説します。
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアは、クライアントとの対話を通じて課題を特定し、その解決策として最良のシステムの設計と開発を担当する職務です。
システム開発プロセスにおける上流工程の一部であり、プロジェクトの進捗と予算の管理などの統合的なマネジメントを行う場合もあります。
システムエンジニアの業務範囲は多岐にわたり、システム設計だけでなくプログラミングにも関与することもあります。
企業の規模やプロジェクトの性質に応じて異なり、特に中小企業では、プロジェクトの始まりから終わりまで、プログラマの役割を兼ねるケースも見受けられます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業の問題点をヒアリングによって明らかにし、ITの力を用いてその問題の解消策を提案する専門職です。
現在のIT戦略が適切かを評価し、必要に応じて新しいシステムの導入や既存システムの最適化を推進します。
システム導入後のテストも行うことが多く、業務内容は広くなっています。
ITコンサルタントの業務は主に「ヒアリングと分析」「提案作成」「プロジェクト管理」の3つのフェーズに分けられます。
システムエンジニアとの違いは、ITコンサルタントの職務はクライアントの問題点を解決するのに、ITを活用して解決することに重点を置いており、クライアントの要望に基づいて具体的なシステムを開発するシステムエンジニアとは役割が異なることです。
インフラエンジニア
情報処理サービス業界では、IT技術の全体を「ITインフラ」と呼ぶことが多いです。
インフラエンジニアとは、情報システムが機能するための基本的な整備を担当する専門家で、クライアントの要求に応じて適切なITインフラを設計、構築、保守、運用するのが主要な役割となります。
インフラエンジニアの分野は大きく「ネットワークエンジニア」と「サーバーエンジニア」の2つに分類することが可能です。
ネットワークエンジニアは私たちが日常的に使用しているインターネット環境の基礎となる開発と構築を担当します。
一方で、サーバーエンジニアは、メールの送受信やその他のサーバー関連の業務を支える基盤の開発と管理を手がけています。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、技術部門と営業部門の架け橋となる役割を担っています。
システム開発自体には直接関与しないものの、エンジニアによって開発されたシステムやソフトウェアの販売、そしてその後のサポートを受け持つのです。
一般的に、営業担当者は商品の売り込みポイントについては深く理解していますが、技術的な側面での知識は不足していることがあります。
逆にエンジニアは技術に精通している反面、商品の魅力を効果的に伝える能力が限られることも少なくありません。
セールスエンジニアは、両方の分野に通じていることが求められ、営業とエンジニア双方の不足部分を補う重要な役割を果たします。
情報処理サービス業界の大手企業紹介
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
富士通 | 3兆5,890億円 | 859万円 | 56 | 開かれた雰囲気の職場環境。新しい挑戦を受け入れる企業文化が存在するものの、組織が大規模であるため、実際にそれを実現するには多くの課題と向き合う必要がある。 |
NEC | 3兆3,130億円 | 814万円 | 55 | 120年の歴史があるものの、挑戦する人を応援する風土が根付いている。 時間、場所、服装を社員が自由に選べる職場を目指している。 |
日立製作所 | 8兆7,670億円 | 897万円 | 59 | 長い歴史を持っているので、特有の表現方法や教育体系が存在する。部署によっては残業がほとんどない場合も。 |
日本IBM | 7,837億円 | 913万円 | 62 | 外資系としてはめずらしく飲み会や社員旅行がある。 数字には厳しいが職場の雰囲気が良く、後輩をしっかり育てていく文化がある。 |
NTTデータ | 2兆5,519億円 | 867万円 | 62 | 末端の社員の意見もしっかり聞いてくれる。 重い責任がある仕事であるため仕事に対する姿勢は真面目で厳しい。 |
なお、就職偏差値については以下の記事で詳しく解説しています。
【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング
富士通についての詳細は以下の記事をご覧ください。
【企業研究】「富士通」の選考対策・就職偏差値/難易度・社風・求める人物像を徹底解説
日立製作所についての詳細は以下の記事をご覧ください。
【企業研究】日立製作所の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
日本IBMについての詳細は以下の記事をご覧ください
NTTデータのついての詳細は以下の記事をご覧ください
【NTTデータの就活フィルターは?】「採用事情」から「必須対策」までを網羅解説
情報処理サービス業界の動向
情報処理サービス業界の市場規模
情報処理サービス業界の市場規模について掘り下げてみましょう。
2020年度の売上高は18兆7,928億円となり、前年度比で1.1%の減少を見せています。
しかし、これは一時的な変動である可能性が高いと考えられます。
なぜなら、10年以上前から売上高の増加傾向が続いているからです。
この増加の背景には、AI(人工知能)やビッグデータの進化が大きく影響しています。
これらの技術によって、今まで人手では集計しきれなかった膨大なデータの分析が可能になり、さらなるITの発展が予想されます。
そのため、需要の増加は今後も続くと考えられるでしょう。
ただし、一方でIT人材の不足が懸念されており、今後の業界の成長を阻む要因となる可能性が指摘されています。
人材確保と育成が急務となっているのが現状です。
デジタル・トランスフォーメーション(DX)
情報処理サービス業界の中で特に注目されている動向がデジタル・トランスフォーメーション(DX)です。
DXとは、企業がデータやデジタル技術を活用することによって、顧客のニーズを基に製品やサービス、業務、企業文化などを変革し、競争上の優位性を確立するプロセスのことを指します。
例えば、オンラインショップは顧客の購買履歴や検索パターンを分析し、より個別化されたサービスを提供することが可能になります。
このような動きは、今後ますます進展すると予想されるため、情報処理業界においては非常に重要なテーマ性となっています。
企業がDXをうまく取り入れ、変革を進めることで、新しい価値を創造し、市場での地位を強化することが期待されているのです。
情報処理サービス業界の志望動機
志望動機として押さえておきたいこと
情報処理業界へ志望する際のエントリーシートの書き方を把握しておきましょう。
志望動機を表現する際、以下の3つの要素を中心に構築するとよいでしょう。
- なぜ情報処理業界を目指すのか、その理由や背景
- 様々な企業の中で、なぜその特定の企業を選ぶのか
- 入社後、どのような業務に取り組みたいのか、また、どんな目標や挑戦を考えているのか
理想的にはこの順番で書くとよいですが、文字数制限などでこの通りに書くことが難しい場合は臨機応変に調整しましょう。
特に、企業側から見た重要なポイントは「なぜ、うちの会社を選ぶのか」という点です。
ありきたりな志望動機では、採用担当者の関心を引くことは難しいでしょう。
企業の過去の特色あるプロジェクト、今後の成長目標や重点的な事業などから、他の企業には無い魅力を見つけ、自分がどのように貢献したいのかを明確に表現してください。
志望動機の例
エンジニアの志望動機の例を紹介します。
私が貴社を志望したのは、「お客様がよりよい生活を送れるように」という思いからソフトウェアを開発している企業だからです。この考え方はお客様の利便性を最優先にする姿勢が表れており、私の価値観とも深く一致しています。 また、私は大学でプログラミング言語のJavaを学んでおりますので、この技術を使い貴社のソフトウェア開発に携わりたいと強く願っています。具体的には、お客様の生活の向上に資するような新しい機能の提案や、使い勝手の改善などに取り組むことで、貴社のミッションに貢献することができると考えています。 |
まとめ
この記事では、情報処理サービス業界の概要から職種、志望動機の作成方法について解説しました。
現代社会は、電子マネーによる決済やATMの利用など、IT技術が不可欠な時代であり、こうした技術は私たちの生活を便利にし、業務効率を向上させています。
情報処理サービス業界では、これらの便利なサービスのシステム開発、保守、運用を担当しています。
スーパーでのスムーズな決済や、夜間でも利用できるATMなど、私たちの日常生活と密接に関わっているのがこの業界です。
更に、この業界は今後も成長が見込まれる分野であり、多くの人材が求められています。
IT技術者として働く場は多岐にわたり、将来的にも安定した職を求める方々にとって大変魅力的な業界だといえるでしょう。
ただ、業界の拡大と共に競争も激化しております。
志望動機の明確化や専門知識の深化など、求職活動においては十分な準備が求められます。この記事が、情報処理サービス業界への就職を希望する方々の一助となれば幸いです。