上京して一からスタートを切る。自分の意思で覚悟を決められる学生は、地方にこそいる。
株式会社土屋鞄製造所 人材開発課 課長 西島悠蔵様
革製品製造・販売/従業員数613名/ご採用人数20名
ITベンチャーを10倍規模の企業に成長させた名物人事、西島さんはなぜ鞄業界へ向かったのか。
― 人事業界では名高い西島さんに本日はゲストに来ていただいております。まずは西島さん、自己紹介をお願いいたします。
新卒で全日本空輸(ANA)に就職した後、リクルートに転職して採用に関わるキャリアをスタートさせました。その後、オンライン営業システムを開発・販売するI Tベンチャー企業へ転職。ゼロから人事部門起ち上げを担い、当時従業員10名程度だった状況から、100名程度への成長を支えました。現在は土屋鞄に転職し、採用全般やオンボーディング、組織開発を担当しています。
― ありがとうございます。改めて物凄い経歴ですね。土屋鞄さんに関してと、そこでの西島さんの取り組みに関して詳しくお聞かせください。
土屋鞄は、『時を超えて愛される価値をつくる』をミッションに、メイドインジャパンのランドセル、財布、バッグ、ステーショナリーなどを展開しています。最近ですと、ビジネスマン向けランドセル「OTONA RANDSEL(大人ランドセル)」などを販売しています。前職のITベンチャーでは組織を急拡大させる必要から、いかに「バズらせる」かが重要でした。しかし土屋鞄には、長年培ってきた歴史や伝統があります。そのため、ただ「バズる」だけではなく組織の中から醸し出されるブランドの深さを発信する必要がありました。これは採用面の話だけではなく、その先のブランドイメージの向上にも考慮したものです。つまり、土屋鞄という一貫した世界観やストーリーテリングから逸脱せずに、経営に役立つ人事を行なうこと。そんな気持ちを大切にしています。
―今回IT業界から鞄業界という全く異なる世界へ歩まれたのは、更なる人事としての高みを目指したかったからなのでしょうか?
それも一つあります。実は、自分のキャリアが様々なメディアで取り上げられたのですが、正直に言えば「本当にそんなに実力があるのだろうか」というモヤモヤした疑問が自分の中にあったんです。そこで、あえて全く知らない世界へ飛び込み、自らの実力を推し量ろうと考えました。それが、土屋鞄だったのです。ITやSaaS系の事業にはわかりやすくスケールしそうな雰囲気がある。そのため、人材が集まりやすい傾向にあります。一方、ものづくり系の職種では何かしらの仕掛けをしないと人が集まらない。つまり、人事としての介在価値が試される業種だということです。加えて、土屋鞄は「ものづくり業界全体を盛り上げたい」という気概がありました。数あるメーカーの中から私が心底共感したのは、まさしくその部分。メイドインジャパンと聞くと、品質が良く価値も高いと我々はイメージします。しかし、すでに中国の10代、20代にとって「メイドインジャパンはもう古い」というイメージだそうです。ですが、実際にランドセルや鞄をつくる工房を見学させてもらうと、それらがただの誤解なのだとわかりました。やはり職人による精巧なハンドメイドは素晴らしい。本物ってこういうことなんだなと感じたんです。この本物の価値をちゃんと世の中に広めていきたい、そして土屋鞄の志と同じく、同じ誤解で悩まれているすべてのものづくり企業を盛り上げたい。そうした想いから土屋鞄へジョインしました。
偏差値で未来を決めるよりも、自分の基準で未来を決められる学生こそ土屋鞄にふさわしい。
― 技術を極めたメイドインジャパンの真髄を広めたいという想いが根幹にあったのですね。そうした中、採用課題はどのようなものがあったのでしょうか?
採用課題を一言で言えば“土屋鞄の認知度がなかったこと”これに尽きます。土屋鞄は当初から開発している小学生向けランドセルと、その技術を応用したビジネスマン向けランドセル「OTONA RANDSEL(大人ランドセル)」などがメイン商品となります。その中間年齢層にあたる10代、20代の若者向け商品を販売してこなかった。そのため、就活中の若者への認知度が圧倒的に少ない状況下にありました。エントリーいただける応募者に関しても、もともと土屋鞄を知っている方々が中心となっていました。しかし、グローバル展開や新規事業の起ち上げを行なうためには、もっと多様な人材を確保する必要があります。いかに“土屋鞄を知らない優秀層にアプローチするか”それが、最大の採用課題だったのです。
― 本当にゼロからのスタートだったんですね。その状況で、数ある選択肢からジョーカツをどうして選ばれたのですか?
実は前職のI Tベンチャーでもジョーカツを活用していたんです。将来のボードメンバーを獲得するために導入し、まだ知名度が全くない状況から2名を採用することができたのですが、その2名が非常にユニークかつ優秀でして。すぐに企業内でも一目を置かれる存在になったのでよく覚えていました。また、関東圏での採用は大手企業が就活サービスをフル活用してアプローチしているため、こちらも多額の費用を準備しなくてはなりません。もちろん、正攻法では勝てない。そこで目をつけたのが地方の学生でした。実は、土屋鞄の採用したいペルソナの一つは、都心で高校まで過ごした上であえてAPU(立命館アジア太平洋大学)やAIU(国際教養大学)など、偏差値以外の自分の基準で未来を決められる学生なのです。自分の考えを持ってあえて地方へ向かう学生は、世の中の軸に縛られず、自らの意思や野望に従って選択できる学生と言える。そして、実はそういった学生が全国に数多く眠っているということを、ジョーカツを通して知りました。だからこそ、私が人事を担当してすぐにジョーカツの導入を決めたのです。
― まさに、前例に縛られずに先進的な動きを生み出すのにジョーカツ生はうってつけなわけですね。
おっしゃる通りです。加えて、地方出身の中でも「地元の神童」タイプの子がジョーカツ生には多くいると感じています。生まれも育ちも地方で、地元の国公立大学に進学し、そして就職する学生です。関東圏のみで育った学生の場合、世の中のトレンドの影響を受けて尖ろうとする学生さんも結構たくさんいます。しかし、地方の学生はいい意味でものすごくピュアな学生が多い。自分の中の大切にしている価値観をブラさずに、しかし仕事でのフィードバックを素直に受け止められる人が多いと思っています。土屋鞄はミッションの通り「時を超えて愛される価値」を大切にしている会社。あえて地方大学に進学する学生は、時代が変わってもピュアに何かを大事にし続ける土屋鞄の姿勢に共感していただきやすいんです。そういった意味でもジョーカツと土屋鞄の親和性は非常に高いと感じています。
多様でユニークな企業が集うジョーカツだからこそ、知名度に縛られないマッチングを生み出せる。
― 最後にですが、ジョーカツに今後期待することがあればお聞かせください!
賛否両論あると思いますが、対面のイベントは配慮しながら続けてほしいですね。実は、新卒採用がコロナで失ったものの一つに“偶然性”というものがあると思うんです。イベントで他社さんのブースで話を聞いたけど、隣のブースを覗いてみたらそっちの企業の方が面白そうだったというような偶然の出会い。オンライン面談は確かに便利ですが、そうした偶然が生まれづらいんです。ジョーカツのいいなと思っているのは全然知らないベンチャーもいるしすごい会社もいる、そのごちゃ混ぜ感だと思っています。 そんな一つの尺度で測れないユニークな企業が集うからこそ、知名度に縛られない意思ある学生が集まりやすいのだと思っています。ぜひ、今後もそうした偶然の出会いを生む仕掛けを続けていき、これまで通り多種多様な地方学生を集めてほしいと思います。